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21 へにゃ耳

再び腰を引き寄せられ、温かく滑らかな胸に顔を押し当てられると、頭のてっぺんにちゅっと口づけられる。 「あいつら、お前の事、『へにゃって垂れたウサ耳が可愛い、笑った顔が儚げで綺麗だ、なのに体つきと表情が最高にエロい。紹介しろ』ってうるせぇんだよ」  深森のチームメイトとはそこそこ顔見知りになっていたはずなのに初耳だった。 「え……、陰でそんなこと言ってたの? 深森、オレにいったことないじゃん?」 「いうわけないだろ」  熱っぽく掠れた声が色気に溢れて、ぞくぞくっと卯乃の耳をくすぐる。 「……誰にも見せたくない。俺の卯乃なのに」 「俺のって、あんっ」  肩口に頭をぐりぐりと押し当てられた後、やんわり牙を首筋に突き立てられた。思わず甘い声を漏らしたのは、痛いのに唇の熱く柔らかな感触も同時に味わい、ぞくぞくっとした刺激が身体中を駆け抜けたからだ。  そのまま流されそうになって、卯乃は慌てて腕の中でもがいて、腕を棒のようにピンっと伸ばして深森と距離を取ろうとした。 「だ、だめ! 本性見せてくれるって約束したじゃん」 「ぐるっ!」  舌打ちせんばかりに喉で唸り、深森は卯乃に覆いかぶさっていた身体を起こして一歩下がった。 「分かった。まずはお前の願いを叶える」 「深森、身体筋肉でムキムキだから、ランプの魔人みたい」 「茶化すな。その後で俺の願いも叶えてもらうからな?」 「え?」  深森の願い事を聞く前に、するするっと目の前で彼の身体が縮んでいき、大きなTシャツとジャージが宙からすとんと下に落ちる。  そしてその中央に現れた大きな猫がこちらを見上げて「にゃあん」と鳴いたのを見て、卯乃は興奮を隠しきれず、真夜中だというのに雄たけびを上げてしまった。 「ふわあああああ! 深森、すっごいカッコいいよお」  そのまま尻ポケットに入れておいたスマホを構えて、ものすごい勢いで連射を繰り返す。びたんっと布団に膝をつき、寝っ転がってひとしきりいろんな角度の顔を撮り、画面で撮れ具合を確認する。  そのたびに卯乃が着ている大きめのタンクトップがぺろんとめくれて桃色の乳首がちらりと見えたり、ミルク色の滑らかな背中からちょこんと可愛い尻尾の見える腰骨まで晒されてたいそう色っぽい姿になった。   猫の深森は卯乃の無防備な媚態を見てびびっと尻尾を上げた後、やはり猫の姿は慣れないのか、妙に畏まったエジプト座りをした。しかし卯乃はもはや相手が深森であるというのを忘れてはしゃぎまくってしまう。

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