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22 幸せ❤
「見てこの写真! すごくニャニャモに似てる! そう思うでしょ? すごいよ。素敵だ。野性味があるこの表情、ニャニャモが若返ったみたい。全体的に毛が艶々しててオレが子供の頃に遊んだ時のニャニャモにむしろ近い。はああ、もう、好きすぎる」
そのあとはもう、おねだりの連続だ。頬ずりしながら猫深森を抱えて別の部屋に行って、ニャニャモが使っていた猫タワーに上ってもらったり、買ったものの使わなかった先端にピンク色の羽根みたいなもしゃもしゃの付いた猫じゃらしの玩具を使って、じゃれてもらったり(意外と楽しそうにしていた)した。
「うう、この横顔、惚れちゃうよお」
卯乃の部屋のベッドの上で抱っこのまま自撮りして、卯乃が猫の深森にぷちゅっとキスする写真を撮った。SNSにアップしかけて、流石に本性を全世界に公開するのはまずいと、すんでのところで理性が働いた。しかしもう途中から卯乃の頭の中では深森はニャニャモとを殆ど混同してるような感覚になってしまった。
ひとしきり大騒ぎして、二人はもともとの布団敷いてある部屋に戻ってきた。時計はもうとっくにてっぺんを越えていて、流石に卯乃も少し眠たくなってきた。
「ごめんね。深森も眠たいよね? 今日も朝練から部活忙しかったんでしょ?」
眠い目をこすりながら謝ると、猫になった深森は大したことない、とでもいうように「にゃーん」と一鳴きしたあと、卯乃の膝の上にゆっくり上ってきた。
卯乃を見上げてきた鮮やかなグリーンの瞳は、室内では少し落ち着いた翡翠色に見える。綺麗なその目を見つめ返して、卯乃は蕩けるような笑顔を浮かべた。
「ニャニャモ、会いたかったよ」
思わずそんな風に口にしてしまった。そのまま指で額の間や毛ぶきが豊かな首周りを指先で撫ぜ回す。深森はなかなかゴロロっと喉を鳴らさないから、ムキになって指を動かすと、重たい身体がのしっと卯乃の胸元を押すようにのしかかってきた。
「ふふふ」
無邪気な笑顔を浮かべたまま卯乃は猫になった深森に床ドンされたように布団に寝っ転がる。多幸感にどっぷり浸かり、両足を投げ出したくつろいだ格好で深森を抱きしめた。
「あったかい……。幸せ……。また抱きしめられると思わなかったから。嬉しいなあ。深森、ありがとうね」
返事の代わりに伸びあがってきた深森がぺろぺろっと卯乃の小さな唇を舐めた。
「んっ。くすぐったあい」
上げた声が思ったよりも甘ったるく掠れてしまい、恥ずかしくなって起き上がろうとしたが、猫のくせに非常に重たい深森の身体がそれを拒むように卯乃の胸にのしかかる。
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