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28 柔らかい

 端正な顔を傾け、感触を確かめるように太ももに温かい頬を押し当てる深森を、卯乃はぺろりと唇を舌で湿らせながら艶美な表情で眺める。すぐに滑らかな内腿にちりっと甘い痛みが走った。 「白い、綺麗な脚。もちっと柔らかくて、旨そうで……。舐めまわしたいって、死ぬほど欲情した」 「やあんっ」  恥ずかしくて顔の前に翳した指の隙間から見た深森は、卯乃の反応を楽しむように見せつけながら再びじゅっと内腿に吸いつき、再び赤い痕を残した。 「だめぇ、短パン、履けなくなっちゃうだろ」 「……俺にしか、見せんな」  ぱしっと尻尾の先で軽く胴をはたかれた。  卯乃は色ごとに興味がなさそうな冷めた男の、自分にだけ見せる執着にますます頬を熱くした。 (このぉ! 深森のむっつり! 素直すぎ、いつものクールさはどこ行った!)  深森は急に饒舌になって卯乃の脚を宣言通り舐めまわしはじめた。膝頭に愛おしそうにちゅっちゅとキスをし、細い足首をぐっと掴まれ、足の甲にも口づけられた後、はあっと熱い息を吹きかけられた。 「やー、こしょいっ」 「ちっせー足、可愛いな」  そのまま指の股と爪先を含むようにねろりっと舐め齧られる。 「ぎぁう! それやだあ、汚いよ」 「汚くない、柔らかい」  仲の良い友達という感覚がまだ近い相手に急にそんなことをされたから、卯乃は恥ずかしさでもう一方の足をバタつかせ、深森の肩をぐいっと足の裏で押す。それをもう片方の手で軽々といなされ、逆にぐっと足を広げられる。そのまま宙に持ち上がった背の下に膝を入れられてしまった。  外側の腿を掴まれて身動きを封じられたまま、唇で腿の輪郭をなぞる様に滑らせて内側をところどころに甘噛みを繰り返す。左が終わったら右も丹念に舐め、吸い、時折じりっと痛みを残す。しつこいぐらいに。そのたび自然とびくっと身体が跳ね上がってしまうのは、痛みだけでなくその奥にぞくっとする快感を孕んでいるからだ。 「痛っ……、あんっ」  深森のひた向きにすら見える仕草に、どれだけ彼が自分に対して飢えていたのか、ここにきてやっと、身をもって思い知らされた。   脚の付け根の際どい部分の近くまで深森の顔が近づいていたから、卯息が興奮と羞恥で息が乱れる。しかし肝心の部分に触れることなく、深森は体勢を変え卯乃の足を大きく開かせた。 「この胸も、ここに着いた時から、ずっとちらちら見えてて、触りたくて我慢すんの、心臓どうにかなるかと思った。先っちょ桃色だし……」 「深森のえっち」  恥ずかしさから冗談めかして甘くなじる。 「お前こそエロすぎだろ、俺の事殺しにかかってると思ったぞ!」

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