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★  差し出されたスマホをみて困惑する。画面に表示されているのはLINEのQRコードだ。 「えっと、あ、はい…」  わたわたとスマートフォンのロックを外してLINEを開くが、如何せん湊は友達がいないためLINEを交換する機会もなく、QRコードを読み取る場所が見つからない。  焦っていろんなところを開いていると、するりとスマートフォンを抜き取られて綺麗な細く白い指が湊のスマートフォンの画面上を軽く滑る。 「はい、これ俺ね」  rui とローマ字で書かれたそれをみて、そういえばこの美形の名前すら知らなかったなと思う。 「るいさん…?」 「やっぱ知らなかった?古川塁、君より二つ年上ね」  なんとなく年上の気がしていた。…怖いから。それに大学二年生の湊の二つ年上だということは大学四年生で、つまりはこの必修科目を2回も落としているというとこになる。 「仕事忙しくて二回も落としちゃったし卒業するのに取らないといけないしでもう落とせないの。だから頼むよ、みなとちゃん」  チャイムちょうどに先生が入ってきてしん、となったからか、塁の顔が耳に寄せられ、鼻腔に少し甘くてクラクラするような蠱惑的な香水の匂いが広がる。心地よい少し低めの声でそう言われ、ぞくっとする。脳に直接響くみたいな声。  思わずばっと耳を手のひらで覆うと、ふっと笑われ塁は何事もなかったかのように授業を受け出したのでひとりで慌てふためいてるのが恥ずかしくなる。急いでパソコンの電源をオンにして授業資料を開いた。

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