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10時ごろに起床した湊はいつもよりも少し時間があるな、と溜まった洗濯を回して干し、お昼ご飯に立香が冷やしておいてくれたぶどうを数粒摘んだ。
13時前に家を出て、電車に揺られ40分。大学前の最寄駅で下車し、商店街を抜けて大学の敷地内を5分ほど歩くとやっと室内に入る。
ちょうど先ほど昼休みが終わり、3限の始まりを知らせるチャイムの音が聞こえていたためそこら中にある勉強スペースに学生の姿はまばらだったで、人が多い空間が苦手な湊はほっとした。
エレベーターが降りてくるのを待って5階を押す。浮遊感を感じながら有線イヤホンを外してリュックサックの外ポケットに押し込んだ。
図書館の入り口は駅の改札のようになっており、学生証をかざすとゲートが開く仕組みになっている。ピッと音を鳴らしながら図書館に入ると、すぐ左に会話OKのスペースがあり、ついでに無人だったのでそちらの奥にある机にリュックサックを下ろした。
図書館の中にも階段があって、その先には会話厳禁の勉強スペースがあるが、該当の資料を集めてパワーポイントにまとめなければならないこの課題は会話必須だろうしとそのまま腰を下ろしてLINEを開き累にメッセージを送信する。
『入ってすぐ左にいます』
スマートホンの上部に表示される時計は14時ちょうどだった。累の姿は見つからないが、資料集めは一人でもできるから先に探しておこうと本棚ごとに貼られてある分類表を見ながら目当ての棚を探し歩く。
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