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「じゃあ、また帰り迎えにくるよ」
「うん…ありがとう」
怜を教室まで送った蓮は、そう言いながら怜の頭をゆるく撫でて踵を返して去ってしまう。撫でられた頭に手を乗せてはぁ…とため息をつきながら教室へ入った。
怜と蓮の通う私立鷲尾学院高等学校には特進コースと普通コースがある。
男子校ながら自由な校風とネームバリューのある人気の高いマンモス校がゆえ、入試成績上位120名は特進生として普通コースとは別校舎で学校生活を送ることになっている。
怜と蓮の成績は殆ど変わらず、合格圏内だった特進コース狙いで受験したが当日怜は貧血を起こしてしまったせいで本領を発揮することができずに蓮だけが特進コースに合格し、怜は普通コースにしか受からなかった。
そもそも偏差値の高い学校であるため普通コースでもそれなりのレベルの授業が行われているが、それでも特進コースには劣る。
蓮とは校舎すら別になってしまい、怜は学校が始まるたびに憂鬱な気持ちになっていた。
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