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新学期になったものの、この学校では三年間クラス替えもないためなんとなく各生徒の定位置は決まっていて、怜も例年通り窓際一番後ろの席にカバンを下ろして座る。
ぐでん、と腕を枕にして顔を伏せていると頭に加減の知らないチョップをかまされイタッと患部を抑えながら顔をあげると、目が眩むような鮮烈な赤が視界いっぱいに広がる。
「お前、三年になってまでお兄様に送り迎えしてもらってんの?どこぞのお姫様かよ」
「いいでしょ別に、校舎すら違って家帰るまで会えないんだから。…それより悠、髪、うるさい」
呆れた声でそう言ってきた神田悠は、へへん、と得意げな顔をする。
「いいっしょ、赤。やっぱ男はレッドだよなー主人公の色だし」
「超馬鹿っぽい」
「なんだと!」
わしゃわしゃと頭を混ぜられて苦言を呈していると、ふと悠が思い出したように言ってきた。
「そういえば今日転校生くるらしいぜ、さっき若松達が話してた」
悠はなあ!と教室前方で固まって談笑している若松達に確認する。
「へえ…編入試験難しいみたいなのによく受かったね。頭良いんだ」
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