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正直、あんまり興味ない。それよりも蓮に会いたい。春休み中のほとんどの時間を蓮と過ごしていたため、余計に蓮が側にいないことが寂しく感じる。
無意識に心臓の位置に触れはあ、とため息を吐くと興味がないことが伝わったのかお前、またどうせ兄貴のこと考えてるんだろと言われた。うーん、ばれた。
「どんだけブラコンなんだよ…兄貴いないと死ぬのか?」
「しぬ…」
聞かなくても、悠が引いているのがわかった。どうでもいいけど。
「もうすぐ学年集会だし見れるだろー会長様だし」
「うーん…」
入試から特進コースの成績トップを独走中の蓮は今年から生徒会長も務めることになっている。校内で蓮の姿を見られる貴重な機会でもちろん楽しみだけれど、ある不快な事情があり、思い出すと眉間に皺が寄った。
「お前ら廊下並べよー」
チャイムよりも少し遅れてきた担任の園田先生は教室前のドアから気怠そうに指示し、先生が来ないからと着席せず駄弁っていた生徒ははーいとゆるい返事で廊下に出る。
「ほら、いくぞ」
ぐでんと溶けた怜の腕を悠が引っ張って、ズルズルと引き摺られながら整列する。騒がしい廊下には普通コースの10クラス、それぞれ約40人ずつが並んでいるため圧迫感がある。
「人酔いしそう…」
「大講堂はこんなもんじゃ済まないだろ」
「帰りたくなってきた」
憂鬱な気持ちでゆったりと進む大行列に着いて階段をふたつ降り三階席のゲートから怜は大講堂に入った。
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