14 / 17

_

★  憂鬱な気持ちの正体は鷹見千景だ。特進コースで蓮に次ぐ成績を取り続け、今年副会長に就任した。蓮と千景は波長が合うのか、家でも蓮の口から一番聞く名前。たまに学校で蓮を見かけた時にも隣には必ず千景の姿がある。  華奢な身体と白い肌、中性的な顔立ちのどれもが怜と似ていて、そんな千景が常に蓮の側にいることが嫌で嫌でたまらない。きっとこの醜い感情を同族嫌悪というのだろう。  それに、おそらく千景は。 「やっぱお嬢ってSubっぽいよな、色気がモロそれ」  千景の箱入り娘のような雰囲気と容姿から付けられた渾名はお嬢。悠の呟きに心の中で同意しつつも小声で苦言を呈する。 「"校訓第四十二条、第二性の話は禁ずる"、違反でーす退学でーす」   「反省文すっ飛ばしかよ!」  どこからどうみてもSubな千景が、Domの蓮の側にいるのが嫌だ。ぐるぐると不快感が胸の中で渦巻いていると、なんだか視界が暗くなってきた。あれ、と思った瞬間、身体がぐらりと傾いて悠に寄りかかってしまう。  怜?と不思議そうな声で名前を呼ぶ悠の声が、ぐったりとして青白くなった怜の顔をみて焦り出す声がだんだんと遠くなってきて、意識がぷつんと切れた。

ともだちにシェアしよう!