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「木島さん、約束、どうかよろしくお願いします……」 「はは、わかってるよ。またよろしく!……なんて言っちゃ可哀想か、ははは、葛城さん、またご贔屓に」 「はいよー、こちらこそまたよろしくお願いします」  上機嫌の木島が、遼と迅にそう声をかけ部屋から出て行った。  うつ伏せのままその姿を見送るために顔だけを左のドアの方に向けていたのを真下に戻し、マットレスに顔を沈める。  もう動けない。 「う〜〜……」  疲労感と痛みと、心がすり減ったような虚しさに唸る。けれど、その中には安堵と達成感もあって、それはもちろん嶺二のために頑張った自分を称えるものだ。  やったぞ、嶺二。俺は頑張った。  頭の中で何人もの自分が会話していると、ベッドがギシ、と軋んでマットレスが沈む。迅が遼の背中に座った重みを感じる。うっ、と呻いたが、迅が体重をかけていないことは知っているので反射的に出ただけだ。 「遼」  迅の呼ぶ声を近くで感じて、顔を真上に上げると、そのまま顎を手のひらで上に引っ張られる。苦しい。うっ、と今度は本気で呻いた時、上から唇が重なる。緩く開いていた唇が隙間なく重なり、舌が口内を余すことなく蹂躙する。顔の向きが真逆なので、いつもよりも舌の触れる感覚が異なっていて、深い。重力で上から迅の唾液が全て流れてきて、無理な角度だから息も出来なくて、苦しいのに気持ちがいい。  頭がふわふわとしてきた。 「ふ、ぁ、……げほ、げほ」  唇が離れると同時に顎を掴んでいた手も離され、急に酸素が流れ込んできてむせる。 「ははは、顔真っ赤にしてかわいいなあ」  噎せて、生理的な涙が出てきた遼をみて迅が笑う。思わず迅を睨みつける。

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