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「……鬼」 「睨んでも怖ないよ〜、木島さんどやった?気持ち良かった?」 「気持ちいいわけないじゃないですか」 「そうなん?俺とのキスはどろどろで気持ち良さそうやけど」 「それは……っ迅さんだけで、」  す、と言い切る前に、今自分が何を言いそうになっていたのか冷静になって考える。顔がさっきとは別の意味で赤くなる。  間違っても遼は迅に恋愛感情を抱いている訳では無いが、ただ。 「そうやんなあ、俺だけが遼の気持ちいい場所全部知ってるもんな」  各界隈の重鎮たちとの仲介を担ってくれる迅が、遼に提示した条件はふたつ。《《取引》》は迅も同行の元行うこと。もうひとつは、その後迅に抱かれること。細かい制限はもう少しあるけれど、大まかに分ければそのふたつだ。  男とセックスをして分かったことは、男の身体を熟知している男は少ないということ。当たり前だけど、男の身体は女のものとは全く違う。けれど、それを理解している男が少ない訳で、自信満々にテクニックを披露する相手から快楽を得られないから、余計な熱がたまる。  苦痛の後の快楽はより深く身体中に染み渡って、何度も何度も絶頂した。自分の意思とは関係なく体がガクガクと震えて、迅はそれを見て愛おしそうに微笑んでいた、気がする。意識は曖昧だけれど。  ただ、迅が男の身体を熟知しているせいで、迅の視線や肌の熱気、声の全てに反応してしまうようになってしまった。さっきの視線を交わらせただけで絶頂してしまったのも、全部迅にそう躾られたから。 「遼、舐めて」  口元に差し出された2本の指を嬲る。指先で上顎を擦られると、擽ったさが次第に気持ちよく感じてきて、涙の膜が張った瞳で迅を見る。指が引き抜かれ、木島との行為で緩んだ蕾にゆっくりと沈んでいく。すぐに前立腺を見つけた迅はそれを摘み、挟み、揺らして筋肉を痙攣させる。 「ふ、ぅ、ふぐ……ぁ、ああああ!」  それだけで絶頂してしまう。うつ伏せの体制のまま腹に腕が回されて、尻だけを突き出した格好にさせられる。 「……入れるで」  そう迅が言ったのと同時に、熱く硬い、大きいそれが真下に貫いてきた。息が詰まる。木島とのセーフティセックスと違い、迅さんはゴムはつけない。後処理もちゃんとやってくれるのでもう抗議する気も失せた。亀頭の出っ張りが腫れた前立腺に引っ掛けられる度に悲鳴をあげる。  更けた夜が明けるまで、声が枯れるまでまた今日も抱かれる。

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