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第39話※⚠

深夜のコンビニ、店員のやる気だって無ければ有線から流れる流行りの音楽なんて聞いてる客は誰1人いない 「君もなんか飲む?」 お姉さんは透明な硝子扉を開けて水を手にしているので俺は隣の棚から炭酸ジュースを取り出した 「若いね」 世の中から見たらお姉さんも充分若いのに俺の周りの人達はどうしてこうも人を子供扱いしたがるのか、それともそんなに子供に見えているのか 「出して」 「え、いや、」 「いいから早く、さっきの煙草のお礼」 会計でまごつく俺の手からペットボトルを奪い取ってカウンターに置く 「〜番と〜番ください」 「こちらでよろしいですか?」 「はい」 店員さんが持ってきた2種類の箱のパッケージを見せて確認取るとバーコードを読み込んだ 「はい、君の」 手渡された煙草と飲み物を受け取ってお礼を言うと蓋を開けて口付けた 「お姉さんお家は?」 「いやだ、少年ストーカーなんて趣味悪い」 「何言ってんの、違うよ」 俺にあたかも悪癖があるような物言いに冷めた目を向けると演じていた振りを辞めて盛大なため息をついた 「私家無いの」 伏せた目は何処か悲しそうで何かを言おうにも彼女を慰めるには全て陳腐な言葉な気がした 「なんてねっ!ジョーダンっ」 「はぁ、、お姉さんこそ趣味悪いんじゃない」 笑っていても隠せていない瞳の奥に本人が踏み込まれなくないのならばと気付かない振りをした 「君達ってさゲイなの?」 「何言ってんの」 次は何を言うかと思えばまた突拍子もないことを言い出して吸っていた煙草を噎せそうになった 「だって、なぁんか皆若い癖に目がギラギラしてないから」 「、、、そんな事無いよ」 君達とはきっと藍とエルくんの事だろう、実際エルくんは置いておいて藍はノーマルだ (女の人ってよく見てるよなぁ) 数秒会っただけなのに全てを見透かされてるような気持ちになってくる、それがこの人だけなのか全ての女性がそうなのかは分からないが素直に凄いと思った 「そ、じゃあ付き合ってくれる?」 一体今からどこに付き合ってくれと言うんだと前を歩いていた彼女が突然立ち止まったのを理由に顔を上げる 「ここ、、、」 「そんな事無いならいいでしょ?」 外の風に晒されて冷たくなった手が俺の手を取って歩き出す チンッ 「まじで言ってんの?」 「今更何言ってんの」 階に到着した事を知らせるエレベーターの音がなって手を引かれながら連なる扉の前を通り過ぎていく 「私先お風呂入っていい?」 ガチャガチャと鍵を開けて部屋に入ると狭い室内にデカいベッドが鎮座していた 「うん」 黒い髪を揺らしながら浴室に向かう後ろ姿を見てソファに腰掛ける (肉食系女子って言うのか?初めて見た、、) 流れに流されここまで来てしまったが女の子とそういった経験が無い訳じゃなくてもこうも強制感を出されるとやりにくい (てかあの人何歳なんだろ) ソファに反り返ってプカプカを煙を吐き出す 下手したら未成年淫行だが大丈夫なんだろうか そんな事を考えながら机に置いたペットボトルに手をかけた シュッ 「、、変な癖」 いつの間に近づいていたのか背中から伸びて来た腕が俺を包むようにして煙草を奪い去る 「自分の吸いなよ」 「いいじゃん、私が買ったんだし」 素性も何も知らない人と俺は今から寝る ワンナイトラブなんて言うけれどそんな大人な恋愛知らなかった 「俺も風っ、、」 言葉は奪われたみたいに音を失くして変わりに微かなリップ音が響いた 「風呂は?」 「そんなのいいよ、シよ」 もう一度触れた唇は柔らかくて髪や身体から良い匂いがする 「んっ、、、」 段々深くなる口付けに身体も密着して滑り落ちた腕は細い腰に回る (あぁ、女の子だ) 漠然とその存在感が強く頭に突き刺さる チュッチュッと口から首筋に降りてくるキスの音を聞きながら小さな手が上半身を弄ぐり上着を脱がすと俺をソファ押し倒した 「舐めてあげる」 もうその頃には何も言えなくなっていた 「、、、勃たないね」 暫く続いた下半身への刺激は次第に止み、その一言で幕を閉じた 「お酒飲みすぎ?」 「、、、そうかも」 ソファの上に上体を起こして顔を手で覆った俺を見てお姉さんは困ったように笑った 「、、、そういう事にしといてあげる」 この人にはきっと初めからばれていた気がする 「寝よ」 何も言わずに俯くだけの俺の手を取ってベッドへ誘う シュッシュッ 「何それ」 お姉さんが空だと言っていた空き箱からカラフルな包材に包まれた1本の葉巻を取り出して火を付けた 「大麻」 息を吸ってジュッと先端が燃えると煙草とは違う独特な臭いが広がる 「ん」 ぽってりしたセクシーな唇から離れた葉巻を俺の唇に押し付け咥えさせる 「これで君も共犯」 吸い込んだ煙からツーンとした青臭さとジョイントが燃える匂いが口と鼻を抜けていく 「私の彼ねちょっとイカれたジャンキー野郎でそのお陰で私もこの有様、今じゃこれが無いと寝れないの」 彼女がぽつりぽつりと話し出した身の上話は中々に重いもので俺はサイドテーブルに置いた煙草を手に取った 「俺なんかとこんな事して良かったの」 「あいつ私に興味ないから、大丈夫」 乾いた笑いが部屋に響いて俺は罪悪感か良心か手に持っていた煙草を灰皿に押し付けると布団に潜りヘッドボードに背を預けて座っていた彼女のお腹辺りに抱き着いた 「女の子ってそういうの分かっちゃうの、君もね」 文章にしたら責めているような文面でも彼女の声はとても優しくて俺の髪の毛を梳くように撫でて行く 「俺、女の人抱けないって分かっちゃったけど、でもそれがレイラさんで良かったかも」 甘えてる自覚はある、やっぱり俺はまだ子供だ こうやって誰かの腕の中で純粋に優しくされる事を望んでしまう 「レイラ?」 頭上からクスクス笑う声が聞こえてきて身体の震えが伝わってくる 「タクミが好きだからレイラ」 「何それ〜」 視線を上げるとやっとシリアスな顔に明るさが戻る 「君って炭酸振って飲むよね、何でなの?」 「知り合いの癖が移っただけだよ」 嘘などついても意味が無いと分かっていながら反射的に無難な回答が口から出てしまう 「可愛い所あるね」 「、、、でしょ」 否定しようかとも思ったがその否定はレイラさんにも通じる気がして素直に肯定しておいた 「君と話してると今日は良い夢が見れそう」 「俺も」 これはきっと覚めることが無い夢だ ただそこに居ればいいそれだけで完成する夢 でもきっとこれは何の解決にもなっていなくて浸れば浸る程、穴の存在を感じてしまう物だ 翌朝、レイラさんとは連絡先を交換してラブホテルを後にした

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