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第45話※

「ん"ぅ、、、」 ぼんやりとした意識に赤い網膜が浮かぶ、いつもの忙しない目覚めとは違いじわっと心を温める眠気に身体はまだ眠っていたいと告げる (寒い、、、) 自分の体温と溶け合った布団を掻き集めるように身を縮こませて鼻孔に付く微かな匂いを探し求めた 「さくら、、、」 後ろにも前にも人の気配なんて感じない、1度強く目を瞑ってから薄らと差し込む光にじわじわと涙が浮かぶ (あぁ、昨日ここに泊まったのか) 押し寄せる後悔と不安、昨日の珍事件に今更心が追い付いてきたのかこの空間の微睡みと相まって気が動転していたのかもしれない 〜♪ 「〜ッ、なんで出ないのばかぁ」 結果は最初から分かっていたのに言い表せない寂しさにポロポロと瞳から涙が零れ落ちる 握りしめたスマホのトーク画面には不在着信ばかりが連なる履歴 (さくら、さくら、、) 桜が持っていた鍵は何故か俺に渡りいつでも来れるようになってしまった、しかしこの家に来るとどうしても虚しさばかりを覚えてしまって来る事を避け続けていた 「ぅっ、、ぅ、」 枕を手繰り寄せて抱き締めると埋まった顔に感じないはずの存在を少しでも感じようと枕を濡らす (誰ともしてないとか嘘じゃん) 昨日の営業中に聞いた女の子達の会話が脳裏に過ぎる、きっとあの女の子を抱いて俺にしたみたいに優しく触れて沢山甘いキスをして桜だって雰囲気に流されたらそういう言葉を吐くのかもしれない (ばか、俺には手出してくれない癖に) 女と男、そんな違いは疾うに分かっている、それでも負け惜しみのような難癖はただの下心でしかなくて、穴だったら俺にもあって女の子みたいに優しく扱わなくたっていいのにと浅はかな考えが思い浮かぶ (桜はどんな顔して抱くのかな) 男子中学生の朝の想像力を舐めない方がいい、1度そういう事を考え出したら止まらない思考回路を落ち着ける為に下半身に手を伸ばした 「ッ、、、」 睡眠も食欲も碌に湧かない身体は当たり前のように性欲も何処かに忘れてきて最近のエロい事と言えばオナホールのように扱われる日々 (やっぱ気持ちよくない、、、) 内蔵を突き上げるような動きには嫌悪感が増すだけで何度しても快感を得られる事はなかった 「はぁっ、、んっ、、」 中に入れた1本の指とは別の手で着ていた服の襟元を鼻頭まで持ち上げて顔半分を埋める (柔軟剤の匂い) 桜の服を着て桜のベッドで自慰行為に浸っているという事実だけが今の俺を興奮させていた 「ふっ、ぅ、、はぁ、、」 スウェットの裾から手を入れて寒さに立ち上がった突起に優しく触れるとビクッと身体が揺れてしまう (あいつはこうやって、、) 思い出していたのはあの夏の日の出来事、触れるか触れないかの位置で撫でるように往復すると普段強い刺激にいたぶられているからかもどかしいジリジリとした快感が広がった 「んっ、、ぅっ、、」 痒い様なビリビリするような刺激に思わず乳首を左右に引っ掻く 「ぁっ、、んーっ」 カリカリと弾かれる度に下腹部がズクンズクンと疼いて堪らずにパンツに手を潜り込ませ竿を握った (勃ってる、、、) 久しぶりに元気を取り戻した自分の息子の頭を撫でてそのヌメリを利用して上下に動かす 「んっ、、んぅっ、、」 惰性に中を間探っていた指を少し強めに押し付けるとゾワッと背筋を走る感覚に手を止めた (、、何これ) もう一度同じ場所で指を曲げてみると腰が反り返ってコリッとしたものが指先に触れる 「ひぁっ、、ん、」 噛み締めていた口が開いて変な声が飛び出る、強制的に押し出されるような刺激に怖くなって中から指を引き抜いた 「んんっ、、はぁっ、、」 抜いた手はピンッと立ってジンジンと主張する 胸元に舞い戻り親指と人差し指で柔く挟んで刺激を与える (イけない、、、) 久しぶりの快感に身体が追いつかないのか達しそうで届かないもどかしさに太腿を擦り合わせた (そういえばあの日も酒飲んでてイけなかったんだっけ、、、) 目尻に浮かんだ涙がこめかみを伝ってシーツを濡らす (あの時は、、) 瞼を閉じて思い出を引っ張り出すと自然と口から言葉が溢れ出た 「ぅっん、さくらぁ、ギュッて、して」 傍にあった枕を抱き寄せてくぐもった声で縋り付く、頭の中にいる桜がイッていいよと優しく頭を撫でて速度を増した手の中に呆気なくドクンッと生暖かい液体を吐き出す 「ッ、、、」 身体全体が何かに覆われて動けないような気がしたけれどそれも体力を使った気怠さだろうと決めつけて重たい身体をベッドに沈めた 「はぁ、、はぁ、、」 布団の中で荒い呼吸だけがやけに大きく聞こえて賢者タイムと呼ばれるものか自己嫌悪に襲われる (やっばい、桜のベッドでオナってしまった) 本人の知らぬ所で他人におかずにされるというのはどういう気分なんだろうと罪悪感から隠れるように布団に潜る (ティッシュ、、) 綺麗な手をサイドテーブルに伸ばして2、3枚抜き取ると後処理をしてベッドから抜け出した 「服乾いてるかなぁ」 今日の天気は曇りなのか冬なのもあってまだ薄暗い室内は生活感を感じさせず屋内だというのに白い息が出そうで悴む手に息を吹きかけた 「8時過ぎか、、、」 短針は8を指しやはりいつもより長く寝ていたみたいだ、自分の家とは違う柔軟剤の香りをさせた服を着込んで昨日と全く変わらない装いになる (今から行けば2限間に合うかなぁ) 首元にマフラーを巻き付け辺りを見回す 1度帰ってしまえばまた暫くここに立ち寄ることは無いだろうという確信は名残惜しさを感じさせた 「、、、行ってきます」 初めてこの部屋に足を踏み入れた時から常に傍には桜がいて出掛ける時も帰ってくる時も決まって挨拶をする (俺って案外ロマンチストなのかもしれない) 今まで死んだ人間は墓にいるとかいないとか思い出深い場所にいるだとか、そんな事信じた事も気にした事も無かったのに、もしもあいつがふよふよその辺をほっつき歩いてるなら何て彼はまだ病院のベッドで眠っているというのに考えてしまう (やっべ、電車出る) ガチャガチャと慌ただしく鍵を閉めてしっかり確認すると駅までの道のりに街中を駆け抜けた

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