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第52話※
「明日も早いしそろそろ寝なよぉ」
いつまで経ってもカメラをイジイジしている俺に痺れを切らした桜がお母さんのように注意する
「だって嬉しいから、、」
「君のなんだからこれからずっと一緒でしょ〜が」
呆れたように笑っているけどそういう問題ではなくて今の感情にいつまでも浸っていたいというのが正しかった
「大切すぎて鑑賞用になるかも」
「使わないと意味無いでしょ!ほら寝室行った行ったぁ」
ケラケラ笑ってカメラを取り上げると寝室に向かって歩き出す
「あっ、こら、俺の」
「ここ置いとくから」
ふわふわ浮いて丁寧に机に着地すると俺の目には何よりもきらきら光って見えて欲を言えば一緒に寝たい程だった
(壊れたら困るから諦めるけど、、、)
しょうがないと布団に潜り込んでパチッという音と共に桜が電気を消すと月明かりが室内に入り込んで薄らと辺りを照らす
(暗いと何かスライムみたい)
激しい光に当たってる時はベールのように感じたのに夜に溶けると水のような質感に感じる
「そんなに見つめてど〜したの、おやすみのキスでもして欲しい?」
「、、、うん」
冗談めかして言った言葉に真剣に返すものだから一瞬驚いた顔を隠して徐に口が近づいてくる
「「ッ、、!」」
チュッと離れた口に2人して大きく見開いた目がぶつかった
「え?」
「はぁ?今触れたよね?え、何で」
そんな事こちらの方が尋ねたいと言うのに慌てた様子の本人に手を伸ばして触れてみるも何かに触れる印象は無かった
「全然触れないしぃ、なんだよ期待したぁ〜」
ブーブーと文句を零す桜にお互い触れたい気持ちは一緒なのかもしれないと嬉しくなる
「もう1回キスして」
触れるだけのキスならいいのか、その先は?とどういう理論なのかは分からないが触れられるのならば検証あるのみとアンコールをお強請りする
「んん?」
「舐めるとかは出来ないっぽいねぇ」
薄らと開いた口に舌が触れる感覚はない、という事は純粋に触れるだけのバードキスなら許されているという事だ
「つまんなぁ」
「つまんなって期待したって事?ねぇ」
意地悪に執拗く尋ねる桜を無視して顔を背けた
「ほーん、そういう態度取るんだぁ、ここで1人でシてた癖に〜」
「おまっ、、見てたの、馬鹿変態覗き魔っ」
「人の部屋で勝手にオナってたのは何処の誰ですかねぇ〜」
すっかり忘れていたあの日の醜態を見られていたと思うと変な事を口走ってなかったか思い出す
(いや、俺名前とか呼んでたよな、、最悪)
「めっちゃ赤くなってる、、あっ、隠れた」
たちまち顔に血液が集まるのを感じて羞恥でパンクする前に布団の中に潜って隠れた
「ま〜ほたん、出ておいで」
「怒ってる?」
「怒ってないよ」
頭上に優しいキスが落ちる感覚に目だけを布団から出す
「恥ずかしすぎて死ねる、、、」
「俺とそーゆー事したい癖に恥ずかしいの?ていうかその前にセックス見られてんじゃん」
畳み掛けるように何なら俺らもそういう事したじゃん何て言ってくるが頭も目もぐるぐる回ってパンク寸前だ
「それとこれとは別だし、あの時は罪悪感の方が凄かったから、、」
「なるほどぉ〜?じゃあ俺が1人でするの手伝ってあげよ〜かぁ?」
「何でそうなるんだよ」
突飛な提案に恥ずかしさも吹き飛んで布団から吠える
「だって別って言ったじゃん〜、僕はつまりしたいって事だと受け取りました」
「そんな事言ったって触れないじゃん」
いくらそういう事がしたくて手伝うと言っても触れないんじゃやる事もやれないと思うのだが上に覆い被さった桜は得意気な顔をしていた
「まぁまぁ、俺なら触っても触れなくてもあの男より満足させる自信あるからぁ」
「あの男って圭介さん?」
「その名前呼ばないで」
食い気味の否定して布団を退けると頭の先から大量のキスの雨が降り出す
「フフッ、擽ったい」
「まほろって首とか耳弱いよねぇ」
そんな事を言いながらも執拗に何度も音を立てて触れていく、時には滑るように撫でる事もあってあまりの擽ったさに身体がピクピクと揺れた
「赤いのに冷たいねぇ」
「っ、、、」
耳の縁を擦るように動いていた口が吹き込むように声を発して首筋がゾワッと粟立つ
「そこで喋んなっいで、、」
「えぇ、どうしよっかなぁ」
耳から首筋に降りて1度口に戻るとチュッと音を立ててまた戻っていく
(あ、、口にもっとして欲しかったな)
「はぁ〜、可愛い、後で沢山してあげるよ」
俺の顔を見て肩口に顔を埋めた桜がそんな事を言う、息なんて当たらないはずなのにパブロフの犬のように想像だけで風を感じる
「服伸びるよ」
「俺のだからいいよ、まほろはさ体温上がると肩とか肘とか赤くなってえろいよねぇ」
鎖骨から外側へ不思議な力でずり落ちて顕になった肩にもキスを送る、慣れない場所への口付けはこしょばゆくて仕方がない
「背中上げて」
「ん、、、うわっ」
「ほんと真っ白で綺麗な体」
指示に従って大人しく背中を仰け反らせると擦り上がった服が捲れて上半身を曝け出した
(なんか恥ずい、、、)
男同士で裸になるなんて日常茶飯事のはずなのにこういう雰囲気で堂々と身体を見られると恥ずかしくなってきて腕で顔を覆った
「顔隠さないで」
「やだ」
「だめ、まほろすぐ我慢するから」
俺が何を我慢してると言うんだろう、疑問に思って腕の隙間から盗み見ると心配そうな目と目が絡み合う
「泣いてても分かんないと困るでしょ、怖かったら言って絶対」
「、、、怖くないよ」
怖くないと言えば嘘になるかもしれないけれど桜がしてくれる事なら何でも嬉しかった
「それじゃあ俺の事だけ見てて」
明るさの也を潜めた低めの掠れ声が口を塞いで長い長いキスが途切れると視界一杯に妖艶な雰囲気を纏った桜の伏し目がちな目に吸い込まれる
「肋骨浮いてる、、飯食って」
「それっ、、なんっかいも聞いた」
喉仏から垂直に滑っていき脇腹、お臍、浮いた肋骨を1本ずつ下から順に唇を這わせたり、大袈裟にリップ音を立てたり、時には唇を結ぶようにして皮膚を挟んでくる
「背中浮いてる、ね〜、ここ触って欲しい?」
じわじわと温められる感覚が身体に充満してピンッと主張する胸の粒が充血している、その周りをくるくると擦ったりキスして胸を限界まで突き出してしまう
「んん〜、桜意地悪」
「あ"ーー、も〜、ほんとなんでそんな可愛いの?天使なの?いや、小悪魔?」
頭を抱えて悶えているが俺の頭はジンジンと疼く部分を触ってもらえるのかどうかで一杯だった
「さくらぁ、、まだぁ?」
「はいはい、してあげるから先に背中もチューしていい?」
正直今すぐにでも乳首に手を伸ばしたい所だがこしょこしょ話をするように頼み事をされては断る事ができない
「ちょっとだけ、怖かったらすぐ言って」
入念な確認にぽわぽわした頭の俺は曖昧に頷いてうつ伏せになった
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