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第11話

一週間後、バイトが終わりまたサンドイッチを手渡されると二人は公園へ向かった。 東屋のベンチに座り食べ始めると、翠は鷹生に話しかける。 「お前、動画投稿したいのか?」 図星だったのか、むせる鷹生。 しかし、翠はまた真っ直ぐ鷹生を見つめ同じ質問をすると鷹生はしばらく黙った後、ゆっくり頷いた。 それに対し、翠は納得の表情で言う。 「やっぱりな。ここ最近、演奏中に忙しなく僕をみたり鍵盤をみたりしていたからもしかしたらと思った。」 「やっぱ、夢見すぎですよね…ははは…。」 そう言って苦笑する鷹生を翠は睨み付けた。 「バカオ、僕はそんなこと一言も言ってない。」 「え…、で、でも…俺なんかまだ全然下手なのに…」 「確かに完璧とは言えないが、人に聴かせるんだったら十分な実力だ。そう簡単に自分のことを卑下するな。」 そう言う翠に鷹生はただ小さい声で謝罪をした。 翠がまたサンドイッチを頬張ると、鷹生は話し始める。 「俺の家に、ピアノがあるんです。…でも、じいちゃんが納屋に入れたって言ってて。納屋の状態にもよるんですけど、その中なら動画撮影とか出来るのかなって…、思ったり…。」 「いいんじゃないか?」 「ほ、本当ですか?!」 嬉しそうにする鷹生に翠は冷静に言った。 「でも、ちゃんと家族には確認を取らないと出来ないぞ。僕たちはまだ未成年だ、そう簡単に自分達だけでは行動はできない。」 「そ、う…ですよね…。」 一気に元気がなくなる鷹生に翠が質問をする。 「お前のお爺さんは、お前がピアノを弾くことに反対しているのか?」 「そ、そう言う訳じゃないと思うんですけど…いつも寡黙で、何を言ったらいいのか分からなくて…。」 そう言う鷹生に翠はある提案をする。 いつの間にかサンドイッチは食べ終わっていた。 「じゃあ、僕が一緒にお願いしに行こう。明日、丁度土曜日だしな。」 「え…!で、でも…そんな…。」 「大丈夫、僕がついてる。」 翠がそう言うと、鷹生はなぜかその言葉をあっさりと信じてしまった。 翠が一緒にいてくれる。 その事が鷹生にとって大きな支えとなっていることを鷹生は強く感じていた。

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