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第15話
次の日、テスト期間が間近だと言うこともあり部活動も無く学校の生徒達はテスト勉強のため図書室に残るかさっさと帰ってしまうかの二択に分かれていた。
玄関に生徒達が溢れかえる中、翠は鷹生を待っていた。
すぐに出会えたようで、二人はいつものように喫茶店へ向かう。
道中、翠は鷹生に話しかける。
「そういえば、テスト勉強は順調か?」
痛いところを突かれたように顔をしかめる鷹生の反応を見て翠はため息をついた。
恐らくほとんど進んでいないのだろう。
翠の反応に鷹生が慌てて言い訳を並べはじめる。
「い、いや。やってはいるんです。でも、分からない問題があっても何が分からないのか自分でも訳が分かんなくて…。」
「なるほどな、お前のことだからどうせ先生にも聞けないんだろう?」
翠がそう言うと、鷹生は頷いた。
「それなら、僕が教えてやる。」
翠の言葉に鷹生は驚いたと同時に、翠の成績に響いてしまうのではないかと心配にもなった。
しかし、鷹生の心配とは裏腹に翠の成績は優秀だった。
一学年下の勉強を教えるなど簡単なことなのだ。
「それなら、よろしくお願いします!」
「ま、赤点を取られては困るから仕方なく、だ。」
その夜、二人は通話をしながら勉強をはじめた。
鷹生は翠に解けない問題を写真で送り、翠はそれを丁寧に説明する。
教師よりもよっぽど教えが良いのか、はたまた翠の教え方が鷹生に合っていたのか次々に理解を深めていく。
鷹生の理解の速さに翠は少し拍子抜けした。
「なんだ、やれば出来るじゃないか。」
「先輩のお陰です。」
「ま、今理解しても記憶することが大事だからな。油断するなよ、バカオ。」
「はい!」
それから二人は毎晩通話をして勉強会を開き、テストに向けて力を入れていった。
バイトも手を抜くこと無く勤めた。
とうとうテスト期間が過ぎていくと、学生達はテストからの解放感から歓喜の声を挙げる。
教室で四方八方から「今日は打ち上げしよう」やら「帰って寝溜めする」やら聞こえてくる。
鷹生もそのうちの一人で、携帯を取り出すと直ぐに翠へメッセージを送る。
『テストお疲れさまです!今回は先輩のお陰で結構解けたと思います!』
『お疲れ、そこまで感謝してるならココアの一つくらい奢ってくれたって構わないぞ。』
『ぜひ!そうさせてください!』
『冗談だ、バカオ。』
メッセージをみて翠はクスリと微笑んだ。
空はテスト終わりを祝うかのように晴天だった。
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