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第21話

数週間経つと、学校は騒がしくなりはじめた。 そう、学生達にとっての一題イベント、「学校祭」だ。 出し物を決めるため翠のクラスは会議を開いていた。 「お化け屋敷でしょ!」 「いやメイド喫茶だろ!」 「メイド喫茶は古いって~、でも喫茶店はやりたいよねぇ。」 「佐々木さんは何か案ある?」 生徒会長の女子生徒が聞くと一瞬にして空気が凍る。 そう、翠はクラスに馴染めていないのだ。 どこからかヒソヒソと声も聞こえる。 が、翠は臆せずに言った。 「お化け喫茶、とかどうだ?」 「うんうん、例えばどう言うのを出すの?」 「え、あ、赤い飲み物…トマトジュースを生き血に見立てたりだとか…。」 まさかの食い付きにたじろぎながらも答えると、以外と受けは良かったようで、あっさりおばけ喫茶になってしまった。 その日の放課後、喫茶店でバイトの時間まで談笑しているとクラスの出し物の話になった。 「先輩達のところは何になったんですか?俺のところは結局お化け屋敷で。」 「ワシん所魔女っ子カフェになった~。」 「おばけ喫茶だ。お化け屋敷とメイド喫茶で揉めてて、一つにまとめたら以外と好評だった。」 「え、いいやんいいやん~翠は何役?」 「僕は裏方担当だから何役でもない。」 「え~つまんないの~。」 そう話しているうちに時間になり、翠と鷹生はバイトの時間になりいつものように始まった。 二時間と言うのはあっという間なもので直ぐに退勤時間になってしまった。 またいつものようにサンドウィッチを二人で東屋で食べる。 そうした日々が続き学校祭が目前となったある日、雀が鷹生に懇願をしていた。 「お願いだ鷹生~、一曲だけでも良いからステージでピアノを弾いてくれぇ~。」 「そう言われても…翠先輩が居ないことには…。」 「お願いだよぉ、一枠空いちゃってどうにも出来ないんだぁ!その場繋ぎだと思って!翠を最前列に入れたらなんとかなるって!」 「うぅん…。」 二人の押し問答を眺めている翠は一つため息を落とすと、鷹生に向かって真っ直ぐな目線で言った。 「鷹生、お前いつか大勢の前で弾いてみたいと言っていただろう。今回を逃したら、いつまでも逃げ続けることになる。僕が視界に入らずとも、何度もこの喫茶店ではやってのけたじゃないか。今の鷹生なら出来る。」 「でも…。」 不安げに翠を見ると翠は自信に満ちた顔で鷹生を見ていた。 「お前なら出来る。」 その言葉と態度で自信がついたのか鷹生は背を伸ばして雀に返事をした。 「俺、出ます!ステージに上がります!」 すると、既に来店していた鷹生のピアノを聞きに来ていた客達が盛り上がっていた。 その様子をみて鷹生は更に自信に溢れた気がした。 「あ、でも、本番ではお面つけさせてください。」 「そんなのオッケーよ!」

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