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第16話
そして紬に顔を上げさせて、「どうしようか」と問いかける。
「俺達はどうする?」
「? 俺達?」
「うん。君の体調が良くなってきたとはいえ、完治してるわけじゃない。」
小さく頷いた紬に、恭介は少し視線を逸らした。
「色々調べたんだ。そしたら完治する方法が一つだけあるって。」
紬はドキッとして背筋を伸ばす。
その方法が何かを紬は知っていたからだ。
「番になる……?」
「っ!」
恭介は意を決して、その方法を言葉にした。
途端、紬はブワッと顔を赤く染める。
そんな、番になるってことは、それは……!
紬は恭介の顔をちらっと見て、隠れるように布団にくるまった。
なぜか。
恭介の自分を見る表情に愛が溢れていると気付いたからだ。
自分のことで必死だった紬は恭介のそれに今まで気が付いていなかった。
なので『いつから……!?』と困惑と恥ずかしさで隠れたくなって。
「番にはなりたくない?」
けれどそれを知ってか知らずか、恭介は問いかける。
紬は熱くなってきた顔を布団で隠しつつ、「お、俺のこと、好き……っ?」と聞く。
だって番になるということは、少なからず発情期の度にそういう行為をすることになるだろうし、そもそも番になる時もしなければいけないので。
恭介はまさかそう聞かれるとは思っていなかったので小さく目を見張る。
そして紬の恥ずかしがっている表情が愛しくて笑った。
「好きだよ。気付かなかった?」
「っ!」
「君が嫌ならならないけど、嫌じゃないなら番になりたいな。」
紬はムギュっと強く目を閉じたあと、しばらく考えてから、小さく頷いた。
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