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第18話

「……ありがとう」 「ううん。俺の方こそありがとう。」  ふんわり微笑む。そうすると恭介とじっと目が合って。  紬はパチパチ瞬きをして、どうしたんだろうと恭介を見つめ返した。  恭介はというと、紬の微笑みに心臓をうるさいくらいドキドキさせていた。  可愛かった。愛しさを感じて見つめたまま動けなかったのだ。  紬は『あ、もしかして』と一度視線を逸らし、そっと恭介の胸に手を置く。 「め、目を、閉じてくれなきゃ、恥ずかしい……」 「……えっ!?」 「え……?ぁ……キス待ち、かと……思った……」 「っわ、ぇ、あ……」 「ち、違うかったっ!?俺、恥ずかしいこと、しちゃった……」  紬は真っ赤にした顔を恭介の胸に埋めた。  恭介はこの馬鹿みたいに速い心臓の音を聞かれるのは恥ずかしいなと思いながら、愛しい紬の頭をそっと撫でる。  紬は暫くそうした後、チラッと恭介を見上げる。  すると彼も同じように少し顔を赤く染めていて少しだけ心がホッとした。 「……や、やっぱりキス、してもいい……?」 「もちろん」  そっと体を離し、恭介の胸に手を着いたまま少し緊張した面持ちで顔を近づける。  恭介は近づいてくる愛しい人の顔が可愛くてじっと見ている。 「目を!閉じて!」 「えー?」  紬は恭介の目元を手で覆うと、むちゅっと触れるだけのキスをした。

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