今日、みーの誕生日か・・ 　夏休み最後の日、目が覚めてぼんやりと寛太朗(かんたろう)はそう思った。 　本来なら必死で勉強しなければならない時期なのに次々と押し寄せてくる出来事に気持ちがついていかない。 　美己男(みきお)にどうしようもなく会いたくなって夕方になって家を出ると、ディスカウントショップで花火とライター、ろうそくを買いアルバイトが終わる時間を見計らって店に会いに行った。 「あれ？寛ちゃん？」 「花火しに行こうぜ」 　店に顔を出し、買ってきた花火の袋を見せる。 「あはは、いいね。待ってて、着替えてくる」 　そう言ってえくぼを見せた。 「コンビニ行って、表で待ってるな」 　寛太朗は隣のコンビニに入って２つ入りのショートケーキといちご牛乳を買って外に出た。　 　ムッと暑い空気が全身を包む。 「お待たせ。どこ行く？」 「横尾川」 　そう言って寛太朗はスタスタと歩き始めた。 　川に着くと、向こう岸でも花火をしているのか騒いでいる声と火薬の匂いがする。 「おー、久しぶりだなー」 　川の近くまでくると空気が少し冷たく水の音が耳に涼しい。 「俺も久しぶり。小５の時、寛ちゃんと来た時以来かも」 　川岸のコンクリートの上に座ってガサガサとコンビニの袋を開けた。 「先にこれ食おうぜ。早く食べないと溶けそう」 「なに？アイス？」 　ポコッと蓋を開けて差し出したショートケーキに美己男が驚く。 「何で？ケーキ？」 「お前、今日、誕生日だろ？」 「え？うそ、マジで？」 　美己男が寛太朗の手を掴んでケーキに鼻がつきそうなくらい近づき匂いを嗅いだ。 「まだ食うなよ」 　寛太朗は笑いながら美己男の額を押さえ、１８、と買ってきたろうそくをケーキに突き刺した。 「わぁ、すげ」 　美己男が嬉しそうに小鼻を膨らませる。 「願い事とか、やる？」 「やる」 「んじゃ、どうぞ」 　シュポッとライターの火をろうそくに近づけ灯すと、美己男の目にユラユラと炎が映る。 　しばらく目を閉じてから開けるとフッ、とろうそくの火を吹き消した。 「よし、食お。あれ？フォークもらうの忘れた」 「いいよ、このまんまで」 　美己男がケーキを手に取りかぶりつく。 「んー、うまい」 「悪い。せっかくの誕生日なのにグダグダだ」 「ううん。超嬉しい。どしたの、急に」 「別に。子供ん時、お前いっつも夏休みの最後の日で宿題やってなくて、誕生日したことなかったろ」 　今日こそはきちんと気持ちを口に出すつもりで会いに来たのに、本人を目の前にするとなかなか素直に言うことができない。 「職員さんにも寛ちゃんにも怒られて、泣いてたなー」 　美己男が懐かしそうに笑いながら花火の袋を開けた。 「すげー、いっぱい入ってる。ファイヤークラッカーズって何？」 「爆竹。よし、どんどんやろうぜ」 「待って、寛ちゃん。怖いって！」 　美己男の両手に何本も持たせて火を点ける。 　シュウーッと音がして次々に火が吹き始めた。 「あっつい、寛ちゃんっ」 　小さな置き型花火からも意外と大きな火柱が上がり、流れ星のようにキラキラと火花が地面に落ちた。 「うわ、結構でかい」 　そう言いながら見ている美己男の足元にねずみ花火を放り投げた。 　シュルシュルと回りながら美己男の足元を這いまわり、パンッと弾ける。 　寛太朗は次々とねずみ花火に火を点けて足元に放り投げた。 「わっ、わっ、やめろっ」 「ほんと、みー、おもしれぇ」 　最後に爆竹に火を点けて足元に投げた。 　パンパンパンパンパン と盛大に音が鳴り、火花が弾ける。 「わあああああ、寛ちゃんっ！何すんだよっ」 　爆竹の火花から飛んで逃げてきた美己男が寛太朗に抱き着いた。 　ハァハァと息が上がって、汗ばんでいる美己男の体を受け止め、笑いながら顔を寄せて唇を合わせる。 「ねぇ、寛ちゃん。今日、ホテル行こうよ」 「いいよ。今日はお前の誕生日だもんな」 「じゃあ、ラブホに泊まりたい。朝までしよ」 「わかった」 　横尾川を後にして真っ先に目に入ったラブホテルに飛び込む。外観はいかにもな雰囲気だったが、中は意外とモダンでおしゃれな部屋だ。 「もっといいホテル、予約しとけばよかったな」 「ううん、十分」 「じゃあ、来年は予約な」 「ねー、一緒に風呂入ろっ。映画みたいな泡風呂にして」 「どうぞ、何でも」 　美己男がバスタブに湯を張り、備え付けのバスソープを入れるとモクモクと泡が立つ。 「うわ、すげっ」 　寛太朗は部屋で服を全部脱ぎ捨て、片手にコンビニで買った安いシャンパンを持って浴室にいる美己男に後ろから抱きついた。 「寛ちゃん？」 　驚いて振り向いた美己男の細い顎を掴んで深くキスをする。 「んっ」 　美己男が首に手を回してすぐに応え、お互いの唾液を飲み込みながら、美己男も服を脱いで全裸になった。 　モクモクと盛り上がった泡の中に２人で入ると泡が溢れてフワフワと飛びまわった。 　寛太朗が浴槽の中で美己男を後ろから抱いてポン、とシャンパンの蓋を開けると、あはは、と美己男が子供みたいに口を開けてはしゃいだ笑い声をあげる。 「はは、すご。ほんとにエロビデオみたい」 　美己男がシャンパンの瓶に口をつけてグビ、と飲んだ。寛太朗も瓶に口をつけて飲む。 「何、エロビデオって。寛ちゃん、そんなの見てんの？」 「たまに」 「ゲイビ？」 「いや、普通の」 「え？そうなの？」 「え？みーはゲイビ見てんの？」 「いや、見てない」 「絶対見てんじゃん」 　寛太朗が後ろから耳のピアスを口に含む。 「見てないって」 「いいよ、別に、見ても」 　耳を舐められて美己男の腰がヒクリと揺れた。 「寛ちゃんはさ、女の子とするよね」 「ん、まぁ」 「寛ちゃんてバイなの？」 　寛太朗は耳を離して美己男の頭に顎を乗せた。 「んー、どうかな。男は美己男としかしたことない。でも、俺、女としても最後までイッたことがない」 　ん？と美己男が首をひねって寛太朗を見た。 「どういう意味？」 「俺、女とセックスしても射精できないんだよ。出るのはみーとする時だけ。か、自分で抜く時」 「それ、マジ？」 「うん。遅漏？ってやつかと思ったけど、お前とするとすぐ出るから違った」 　美己男が小鼻を膨らませた。 「じゃあ、今日いっぱいしよ。全部出して、俺に」 「ん。朝まで、な」 　美己男を向かい合わせて膝に乗せると喉の奥まで届きそうな深いキスをした。 「寛ちゃんのほくろエロい。俺、このほくろ好き」 　美己男が手を伸ばして寛太朗の右眉に触れる。 「え？これ？エロいか？」 　寛太朗は笑った。 「うん、エロい。寛ちゃん、時々わざとそれ、見せる時あるでしょ。みんなぽーっとなってさ、それ見るんだよね」 「なんだ、バレてたのか」 「うん。俺も見てたもん。俺は？俺のどこがエロい？」 「そうだな、みーは・・、舌出して」 　寛太朗は差し出してきた美己男の舌のピアスをヌルリと舐めた。 「は・・」 　美己男が息を漏らし、夢中で舌を絡ませてくる。唇を合わせ舌を引き込むと舌先でピアスをねっとりと撫でまわす。美己男の長い手と足が体に絡みつき体を押し付け合った。 「お前の舌、すげーエロい」 「んー、チューだけでイきそう」 「早過ぎ」 「でも寛ちゃんも固い。１回ここで出す？」 「ダメ、無駄打ちしたくない。今日は全部、みーの中で出す」 「じゃあ、先、出てて。準備してから行く」 　美己男に言われて寛太朗は浴室を出た。 　裸のまま、ベッドに横になるとひんやりしたシーツが火照った体に気持ちが良い。 　美己男がシャンパンの瓶を片手に浴室から出て来てベッドに上がろうとしてよろけた。 「おっと」 　寛太朗は美己男を抱きとめた。 「平気？逆上せた？」 　白い肌が淡いピンク色に染まっている。 「んー、ちょっと」 　美己男は膝の上に跨ってグビグビとシャンパンを飲んだ。 「俺にも飲ませて」 　美己男が口に含んで寛太朗に唇を押し付けると舌と一緒にシャンパンが喉に流れ込む。ジュルリと音を立てて舌を吸った。 　顔を離すとまた美己男がグビと瓶を傾けて飲む。口の端からタラタラと溢れて顎を濡らした。 「もう飲むなって。そんなに飲んだら朝までもたないぞ」 　喉元に垂れて来たしずくを舌先ですくい取りシャンパンと一緒に乳首を口に含むとビクリと美己男の体が震えた。 　甘噛みしながら舌先で撫でるとすぐにピンと固くなる。 「あ、んん、寛ちゃん、今日、ゴム無しでして」 　寛太朗の腰に足を絡ませながら美己男がねだった。 「いいのか？生でして？」 　顔を上げた寛太朗に美己男が顔を寄せる。 　柔らかい髪が顔にかかってくすぐったい。 　ムギュ、と唇が押し付けられた。 「今日、俺の好きにしていいんだよね？」 「いいけど」 「今日の俺の誕生日の願いごと、叶えて。今日は寛ちゃんの恋人にして」 　美己男の目が潤む。 「わかった。俺も、みーとゴム無しでしたい。中出しも？いい？」 「うん、全部、中で出して。寛ちゃんの全部欲しい」 「他には？」 「最初は寛ちゃんが上でして」 「ん。いいよ」 　美己男の腰を抱いてゆっくり態勢を変え、美己男をベッドに寝かせる。 　寛太朗は中指を口に含んでからゆっくりと後ろを撫で指を入れた。 「あっ、ん」 　美己男の腰が持ち上がる。 「みー、かわいい」 　美己男の目に涙が浮かぶ。 「寛ちゃん、大好き。ずっと好き」 　何度も唇を合わせた。 「ごめん、我慢できない、挿れていい？」 「ん・・、頂戴。早く、欲しい」 　美己男の目を見ながらゆっくりと挿れた。 「あ、寛ちゃん、すご、固いっ」 「みー、あー、ヤバ。あっつ。ナマ、やばいっ」 　ズズズと奥に入っていく感触に鳥肌がたち、快感が腰から全身を這い上がる。 　その度に美己男の体がビクビクと震え、あっ、あっ、と声が漏れた。 　奥まで挿れるとゆっくりと腰を動かし始める。 　襞の全部が寛太朗を捉えようとするかのようにまとわりついてたまらなく気持ちがいい。 　膝の後ろを持ち上げて寛太朗のモノを全て美己男の中に収めて接合部をピタリと合わせるとそのままグリグリと奥を探るようにかき回した。 　何もかもが隙間なく合わさり蕩け合う。 「寛ちゃん？」 「ん？」 「大好き」 「ん。俺も、みーのこと好きだよ」 　寛太朗はようやくその言葉を口にした。 「もっかい言って」 「みーのこと、すげー好き」 「もっかい」 「みー、大好き」 　美己男がうー、と泣き出した。 「寛ちゃんから初めて聞いたぁ」 「言わなくても分かってたろ？」 「分かるわけないよぅ。俺頭悪いし、寛ちゃん女の子好きだし、俺と同じ意味での好きじゃないに決まってるっ」 「何だよ、じゃあ何で今まで俺とセックスしてたの」 「だって、俺は寛ちゃん大好きだもん。どんな風でもいいからして欲しかったんだよぅ」 　寛太朗の体が熱くなる。 「最後まで俺をイかせてくれんの、みーだけだよ。ほら、ここ。わかるか？俺の先っぽ、みーの一番奥にいるの」 「あ、はぁっ、わかるっ、寛ちゃ、先、俺の中にいる。あ、どうしよ。溺れるっ」 　トン、トンと奥を何回か叩くと美己男が腰を反らせブルブルと体を震せ始めた。 　一番奥がさらに寛太朗を飲み込もうとする。 　のけ反らせた喉元から赤みが広がってきてヒクヒクと腹筋が波打った。 「みー、飛ぶなよ。息しろ。中イキ、きた？」 「ん。待って、今。イッてる・・」 　美己男の中がグニグニと蠕動して寛太朗をギュウギュウと締め、美己男の赤く染まった喉がゴクリと動く。 　寛太朗は顎から汗を滴らせながらしばらくその美しい姿に見惚れた。 「ごめん、みー。イかせて」 　寛太朗は我慢できずに動き始めた。 「寛ちゃん、すごいよぅ、出してぇ、一番奥。全部中でっ」 　寛太朗は激しく奥を突いた。何度か突くとすぐに爆発寸前まで高まる。 「みー、イくっ」 「ああー」 　美己男の中で何もかもが決壊し、ドクドクと血管まで破裂しそうに脈打つ。 「あー、やばいっ、ナマ、良すぎっ。止まんねっ」 「寛ちゃんっ」 　美己男も顔に飛ぶほどの勢いで白濁した液を放出した。 「んー、んんっ、大好きぃっ、寛ちゃんっ」 　ハァハァと肺一杯に空気を吸いながら寛太朗は美己男の胸に突っ伏し、しばらく甘いだるさに動けなくなった。 　汗で濡れた鼻を美己男の耳に擦りつける。 　ハァッ、ハアッ、と美己男も胸を激しく上下させている。 「すげー破壊力」 　寛太朗が腰を引こうとするのを美己男が足を絡めて引き寄せた。 「待って、抜かないで。中にいて」 「ん、じゃあ、このまま、横になって」 　繋がったまま、抱き合って横になり、しばらく息を弾ませながら額を擦り合わせた。 「ね、俺と初めてする前に女の人とした？」 「うん」 「その時、イかなかったの？」 　美己男が訊いた。 「ああ、うん。途中でダメんなった」 「気持ち良くなかった？」 「うん。いつの間にか萎えてて。んで、気持ち悪くてシャワーで洗ったら出た」 「マジで。あはは、洗って出るってウケる」 　美己男が笑う振動が伝わってきてこそばゆい。 「その後は？みんな途中でダメだったの？」 「んー？いや、その次は最後まで持つようになったけど、今度は最後出なくなっちゃって」 　ふーん、と美己男がおもしろそうに寛太朗を見ている。 「ネットで色々調べたら、射精障害っていうのがあって、遅漏かなぁ、って思い始めて」 「でも、俺としたら出た？」 「うん、みーが殴られて家来た時あったろ？あの時、初めて出た」 「あは、嬉しい」 　美己男が笑う。 「あの子は？百花(ももか)ちゃん。結構うまくいってたじゃん」 「うまくはいってなかったよ、最初っから」 「エッチしなかったの？」 「したけど、やっぱり最後までいけなかった」 「どのくらい付き合ってたっけ」 「半年ちょっと。半年記念してやれって理貴(よしき)に言われて、高いジュース買って家に行ったわ、そういえば」 「ええ？高いジュース？」 　寛太朗は思い出して笑った。 「そうそう。あの頃さ、俺、高級スーパーで働いてただろ？で、パートの奥さんに相談したんだよ。そしたら、すんごい高いオレンジジュースお勧めされて、それ買って持って行った」 　美己男が吹き出す。 「何それ。ウケるんだけど」 「すげー高かったんだぞ。１本１０００円ぐらいするオーガニックのオレンジジュースでさ」 「嘘でしょ、１０００円っ！？」 　美己男が驚くと中もギュッと締まる。 「あ、バカ、急に締めんなよ」 　寛太朗は慌てて腰を引き寄せた。 「あ、ごめん。びっくりして。そんな高いジュースあんの！？」 　美己男が足を絡ませ直す。 　ゆるゆると包まれていて気持ちがいい。美己男の腰に手を回して滑らかな尻を撫でた。 「俺もビビった。でも人気があるって言われて。持って行ったらすげー喜んでた」 「寛ちゃん飲んだの？」 「うん、その時、ケーキと一緒に出してくれて飲んだ」 「おいしかった？」 「それがすんごい酸っぱくて苦くて。帰る途中で道端で全部ゲロッた」 「え？何て？」 　美己男が目を見開いて訊き返す。 「気持ち悪くなって帰りに全部吐いた」 「嘘でしょ！？寛ちゃんサイテー。もったいねっ」 　美己男が爆笑する。 「もったいないとかそういう問題か？」 「だって１０００円のジュースだよ。バイト１時間分だよ」 　寛太朗も思わず笑った。 「そうだけど。イチゴ牛乳１０個買ったほうがマシだったな」 　美己男がムニュと唇を押し付けてくる。 「寛ちゃん、やっす」 　寛太朗は美己男の唇を追いかけた。 「るせーよ」 　ゆっくりと美己男が繋がったまま、起き上がり寛太朗に跨る。 「俺も、絶対イチゴ牛乳がいいな」 　美己男の綺麗な顔が寛太朗を見下ろすと胸に唇を寄せ、チュと音を立てて吸いついた。胸の上で赤い髪がサラサラと揺れ、チュ、チュと胸に音を立ててキスをする度、腰に甘い痺れが走る。胸の火傷の痕に温かい唇が触れ肌が柔らかく解けた。 「理貴さんの前で俺といつもしたいって言ってくれたの、ほんと？」 「ほんとだよ。学校で我慢できなくてみーを追いかけた。百花といたのに」 　銀色のピアスが胸の上で光る。 「んっ、お前見たら頭ぶっとんじゃって、ヤりたくてたまんなくなって」 「うん。あの日、寛ちゃん、急にチューしてきて。体、火の玉みたいに熱くて強くて、アソコすげぇ固くて。つらそうに眉寄せてんの、めちゃくちゃエロかった。俺も超興奮した」 　舌先が肌の上を滑りピアスがコロコロと転がる感触に反応して美己男の中でまたモノが固くなり始めた。 「気持ちい？」 「んっ、いいよ」 　美己男が体を起こして深く沈む。 　チロリ、と舌が出てピアスが覗いては唇の中に入っていく様がそそる。 「あ・・、寛ちゃん、また固くなった」 「んー、みー。擦りたい、ナカ。今日、気持ち良すぎる」 　寛太朗が美己男の腰を掴んで起き上がると、美己男が後ろに手を突いた。 「あっ、ん、俺も、寛ちゃん、今日固くてっ俺ん中、いっぱいっ」 　寛太朗の両手に体重を預けてさらに深く繋がる。 「あー、寛ちゃん、奥、触って、もっと」 　腰を掴んでこれ以上ないくらいに引き寄せた。 　もう接合部はぐちゃぐちゃで深く差し込む度にクチュクチュと音を立てる。 「みー、エロすぎ」 　首元に吸い付いた。 「んー、もっと、強く吸ってっ。寛ちゃんの跡、つけてよぅ」 　思い切り美己男の白い肌を吸うと赤い斑点がにじむように浮き上がってくる。 「俺の、みー」 　寛太朗は波に飲み込まれるように、美己男の中にのめり込んでまた白い液を吐き出し、 　朝まで２人はドロドロに一つに溶け合うまで抱き合った。 　 　朝になってホテルを出ると美己男は体を引きずるようにして歩いた。 「大丈夫か？みー。ほんとに朝までするか、普通」 「寛ちゃん、絶倫なんだもん」 「バカっ、外で言うな」 「否定しないんだ」 　２人で笑う。 「帰って爆睡する」 「今日、始業式だろーが」 「俺、休んでも平気だもん」 「ええ？マジかっ」 　分かれ道に来て立ち止った。 「じゃあね、寛ちゃん」 「ん、また明日、学校でな」 　寛太朗は頷いた。 「寛ちゃん」 　美己男が抱き着いてきた。 「おい、外ではダメだって」 「今日だけ」 　ムニュ、と唇を押し付けてくる。 「最高の誕生日だった。迎えにきてくれたことも、ケーキも、花火も、エッチも、キスマも、好きって言ってくれたことも全部、嬉しかった。誕生日のお願い、叶えてくれてありがとう、寛ちゃん。ずっと大好き」 「ん、俺も好きだよ、みー」 　もう一度、今度は深いキスを交わす。 　　今まで言えなかった言葉をこれからは何度でも時間をかけて言おう 「じゃあねー」 と美己男は手を振って帰って行った。 　 　そしてその日、美己男と知愛子(ちあこ)はいなくなった。