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執事ドナートの懸念[3]
「ドナート、レオネには何も言うなよ⁉」
考えを巡らせると次の対策としては、レオネ本人に『気が乗らない時は断わっても良いのですよ』と教えることだった。
だがジェラルドはそれを察したようだ。
「何を、でしょうか?」
ドナートはとぼけて言ってみた。
「閨事 の全般だ! レオネにそんな事に絶対言うなよ⁉ あ、エレナの時はこうだったとか論外だからな!」
怒気を強ませ言うジェラルドにドナートはこれ以上は無理だなと諦めた。
「……承知致しました」
口ではドナートの忠告を聞くつもりはないと言っているが、きっとジェラルドは今後慎むだろうと予想しドナートは引き下がった。
しかし、ドナートの予想に反して、二人の状況はあまり変わらなかった。
ジェラルドが休みのその日も、二人はお昼頃に起きてきて、ダイニングで仲良く食事を取っていた。
少し気怠 げではあるが、レオネは普段通りの量を食べている。
「食後にチョコレートブラウニーはいかがですか」
ドナートの問にレオネは笑顔で答えた。
「ええ、いただきます」
ジェラルドに愛され、日々自信が満ち、レオネはより美しく艷 やかになっているとドナートは思った。
体調が悪そうではない限りは、このまま静観を続けるのが良さそうだ。
「ジェラルド様もブラウニー、ご用意致しますね」
甘い物が好きな主 にもそう言ったが、
「ん、少し重いな……。何かフルーツにしてくれ」
ジェラルドは意外にも断った。
加齢と共に体重の増加を気にしているらしいからそのせいだろうとその時ドナートは思った。
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