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ジェラルドの失態[2]

 外商は注文書に記入しながら小さな声でジェラルドに言った。 「お連れ合い様がお美しすぎると大変でございますね」  外商はジェラルドの懸念を察しているようだった。  ジェラルドは鼻で軽く笑いそれを受け流した。  すると外商は注文書の控えと一緒に薄い冊子をジェラルドに渡してきた。 「こちら控えと……それと、もしよろしければ次の事業でご検討いただければ……」  その冊子は白地の心地よい手触りの紙が使われ、金の箔押しでブランド名らしき名前が小さく書かれている。  ジェラルドは冊子をパラッとめくった。  その内容に一瞬驚いたが、極力表情には出さず外商を見た。 「ご経営の方向性と違いましたら破棄をお願いたします」  外商は柔らかな笑顔を(たた)えて言った。  ジェラルドはチラリとレオネを見た。  レオネは外商の持ってきた生地を見ていて全く聞いてないようだ。  ジェラルドは軽く咳払いをし、外商に言った。 「いや、検討させてもらうよ」  外商が帰り、レオネが自身の書斎に籠もったのを見計らい、ジェラルドは自室で例の冊子を開いた。  その冊子は表紙の白さとは異なり中は色で溢れていた。  それはネックレスやイヤリングなどの宝飾品の型録(カタログ)だった。  様々な図案が精密に線画で描かれ、細かな部分まで着色されている。さらに使用する宝石や金属の情報も丁寧に記載されていた。  何より目を引くのが、着用イメージだ。  天使や女神が素肌にそのアクセサリーを身に着けている。  美しく描かれた女神達のたわわな乳房に豪華なネックレスが光り輝く。  中には性器に金の輪を嵌められている美青年風の天使の絵もあった。  つまりこれは(ねや)で身に着ける宝飾品の型録なのだ。  ジェラルドがレオネを溺愛している様子を見て、外商が薦めてきたのだ。  その読みは見事に的中し、ジェラルドは既にこの中からどれをレオネに着けせようかと選ぶ思考になっていた。  金髪の長い髪の男型の天使がジェラルドに微笑む。  しっかりとした筋肉が描かれ、豪華なイヤリングやネックレスをしている。飾りの隙間から見える薄紅色に着色された乳首が実にエロティックだった。

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