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ジェラルドの失態[13]

――――その晩  レオネがどことなくソワソワしている気がして、ジェラルドはむしろチャンスだと思った。  レオネはきっと例のアクセサリーを意識している。  これは押せば何とかなる可能性を感じ、レオネが風呂に入るタイミングで、無理やりアクセサリー一式をレオネに押し付け、バスルームに押し込んだ。  先に入浴を済ませたジェラルドは寝室にある一人掛けソファに座り、やきもきしながらレオネを待つ。 (やっぱり無理だと言われたら、どれか一点でも良いからと再度頼んでみよう。アンクレットだけなら良いんじゃないか? 全裸にアンクレットだけとか……うわ……)  想像だけで勃ちそうになり思考を停止させる。  四十代目前だと言うのに、まるで十代のようだ。  レオネはきっと大人の魅力をジェラルドに感じて好きだと言ってくれているはずだ。もっと落ち着けよ、とジェラルドは自身に言い聞かせた。 「ジェラルド……」  名を呼ばれてハッとバスルームの扉を見た。  扉を少し開け、レオネが顔を覗かせている。  その顔は遠目に見ても真っ赤だとわかるが、耳にはあのルビーが光っていた。  ジェラルドは嬉しさのあまり駆け寄りたくなったが、脅かしたらレオネは猫のようにサッと逃げてしまう気がした。  高鳴る心臓を押さえ、極力優しく平静を装って声を掛ける。 「ローブ着てて良いから、出ておいで」  レオネは無言でコクリと頷くと一旦扉を閉めた。 (クソッ! ローブ無しで出てくるつもりだったのかも!)  己の言葉選びに悪態をつきながらも出てきてくれる気配に期待が高まる。  それほど経たずして、静かに扉が開きレオネが出てきてくれた。  ローブの襟元をギュッと握りしめ、耳まで真っ赤に染め俯いている。  ジェラルドはソファからゆっくり立ち上がり、ベッドに腰掛け、両手を広げた。 「レオネ、おいで」  ジェラルドは知っていた。  レオネはこのジェラルドが言う『おいで』に弱い。ジェラルドが『おいで』と言って、レオネが来なかったことは無い。  案の定、レオネは躊躇いつつもベッドに近づき、ジェラルドの横に座ると、その腕に身を寄せてきた。

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