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ジェラルドの失態[14]

 ジェラルドはレオネの背中に腕を回すと、至近距離でレオネを見つめた。  一番目を惹くのは左耳のみにつけられたフック型のイヤリングだ。耳に穴を開けていないレオネにも着けられるものを選んだ。  耳の上部に引っ掛け耳の裏側へ回り、耳朶から首筋にかけてシャラシャラと金の細い鎖と細かなルビーとダイヤが垂れ下がる。さらに耳朶の表側に回り込むように曲げられた繊細な意匠の金の台座には最上級のルビーが嵌っている。  支払った金額の内、七割がこのルビーの価値だ。  美しい金の髪はイヤリングに絡まないようにか右側にまとめて流され、そのせいで薄紅色に蒸気した柔らかな白いうなじが露わになり、さらにその首筋からはネックレスの一部が覗いている。  ローブの襟を握る右手首にもジェラルドが選んだ華奢なブレスレットがルビーの紅い光を輝かせていた。  ジェラルドがその赤く染まった頬を撫でると、レオネは潤んだ紺碧の瞳をそらしながら言った。 「に、似合ってないって笑わないでくださいよっ。着けさせたのはジェラルドなんですからっ!」  羞恥心でパニックになりかけているレオネがそう捲し立てている。  恥ずかしがっている姿がたまらない。 「レオネ……凄く綺麗だ。可愛いよ」  しっとりと耳元で囁くとレオネはさらに赤くなって、泣き出しそうな程瞳を潤ませた。 「キスしていい? お姫様……」  そう尋ねるとレオネは分からないくらい微かに頷いた。許可を貰ったと判断し、優しくその赤い唇に唇をあわせる。  レオネの唇の柔らかさを味わい、合間から舌を侵入させると、レオネもいつも通り舌を差し出してくれた。 「ん……」  レオネから甘い吐息が漏れる。  舌を絡ませながら、ジェラルドはレオネのローブの合せから手を差し込んだ。指先にネックレスの細い鎖が当たる。純金製のその鎖はレオネの体温で暖かくなっていた。  ジェラルドは鎖が絡まないよう注意しながら、レオネのローブの襟元を大きく広げた。 「んっ!」  キスで誤魔化しながらローブを剥ごうとするジェラルドにレオネが反応しその身体がビクンと震える。  ジェラルドは構わずレオネの首筋にも唇を這わせ、そしてローブからレオネの両肩を抜き、その上半身を露わにした。 「あっ……ジェラルド……!」  ジェラルドはレオネの首筋から顔を離し、レオネのその姿を見る。  レオネの鎖骨に乗る金の鎖からは幾筋も細い金の鎖が下がり、レオネの胸にサラサラとかかっていた。さらに両サイドの数本は脇を通り首の後へと繋がっている。  金の鎖にはルビーとダイヤが散りばめられキラキラと光を乱反射させていた。  レオネの白い胸に流れる幾筋もの金の鎖。その奥に見え隠れする薄紅色の突起にジェラルドの目は釘付けになった。

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