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少年ロレンツの青い使命 [7]

 昼過ぎに帰ってきたレオネは疲れ切った様子だった。 「お客様に飛行船や港の中を案内してさ、たくさん歩いたよ」  スーツから普段着に着替えたレオネは談話室のソファに沈み込むように座ると、クッションを抱きしめて大きく息を吐いた。そして小さく「もっと早く寝るべきだったなぁ。ジェラルド、大丈夫かなぁ」と呟いた。 「夜も仕事してたの?」  ロレンツが心配してそう尋ねるとレオネは「ん、ううん。ちょっと夜更かししちゃっただけ」と困ったように笑う。  結局、そんな疲れ切ったレオネに逃避行の話を切り出すこともできず、ロレンツはレオネとゆっくりお茶をしたり、話をしたりし、午後を過ごした。  三時過ぎ。二人で並んでソファに座り、飛行船港開港までの写真や資料を見せて貰っていたのだが、いつの間にかレオネは眠っていた。  「レオ?」  声を掛けてみるが、レオネはしっかりと眠りに落ちている。 ――レオネ様のこと、抱きたいと思ってんの? ――抱かれたいと思ってんの?  ふいにディーノが言った言葉が蘇ってしまった。  恋人同士がするキスや、それ以上の行為があることは知ってはいる。だが、それらをレオネと、だなんて考えたこともなかった。  その辺の男とキスなんて、ロレンツとしてはあり得ない。絶対したくない。でも大好きなレオネとなら構わないと思った。現状したいとも思ってないが、嫌ではない。 (キスしたら、もっとそういうこともしたいって思うようになるのかな)  ふと、無防備に薄く開いたレオネの唇に視線が吸い寄せられた。 「……レオ」  もう一度小さく名を呼んでみるが反応がない。しっかり眠っていることを確認し、ロレンツはレオネの唇に唇を寄せた。  レオネの静かな寝息を肌に感じた時。 「ロレンツ」  突然名を呼ばれてハッと顔を上げた。見れば談話室の入り口にジェラルドが立っていた。困ったような呆れたような苦笑いで。 「……ん、ジェラルド? お帰りなさい」  さらにうしろから声がして振り向くと、レオネがあくびを噛み殺しながら身を起こした。先ほどロレンツが名を呼んでも起きなかったのに、ジェラルドの一声だけで目を覚ましたようだ。 「早かったですね」 「ああ、思ったより早く終わったよ」  二人の何気ない会話を聞きつつもロレンツは焦った。怒られるという恐怖心より、恥ずかしさの方が強い。ザァと血が下がるような感覚だ。  ジェラルドがレオネにバラすかもしれない。  勝手にキスしようとしたとレオネが知ったら幻滅されるかもしれない。 「ロレンツ、ちょっと話そうか。おいで」  ジェラルドの言葉にロレンツの緊張感が増した。どうやらジェラルドは、レオネの前では話さないでいてくれるらしい。  レオネに知られたくないロレンツは、ジェラルドに従うしかなかった。

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