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「ヨウはここにいなきゃ体がおかしくなってしまったりする?」
「別に何もないけど」
「だったら俺の家にも来てくれよ。学校にもこっそり遊びに来たらいい! 俺にしか見えないんだろう? 俺の席、窓側なんだ。ヨウが来てくれたら眠らないで頑張れるかも」
「……いや、それは俺がいなくても頑張れよ。まぁでも、お前の生活にも興味はあるし、行ってみようかな」
「やった!」
お姫様抱っこをされたままだけれど、もう照れも何もなくなって、俺はヨウの首へ手を回し抱きついた。あんまり動くと落ちるぞ、とからかわれたけれ、さらにぎゅっと抱きつくと思いっきり笑われた。落ちたってこの高さじゃあ死なないぜってけらけらしているけれど、死ななくても落ちるのは嫌だ。
「ちゃんと支えてて」
「抱っこしてるだろ?」
「じゃあもう落ちるとか言うなよ」
「はいはい」
「俺、本当はあまり高いところは好きじゃあないんだけど、ヨウの腕の中は安心する」
「……ソウデスカ」
「照れた?」
「別に」
そろそろ花火の時間になるからと、ヨウは俺から視線をそらし、羽を大きく動かした。ぐらりと体が揺れ、ヨウに抱きつく力を強めると、ヨウも俺を支える手に力を入れたのが分かった。風が大きく吹いて、これまでより何倍もの高さまで飛んだ。
「ヨウ!」
「怖いか?」
「怖い、けど、怖くない」
「ふはっ、どっちだよ」
「ヨウ、俺、重くない?」
「今さら? けっこう重いし腕がきつくなってきた」
「えっ」
「嘘だよ。びっくりするくらい軽い。ちゃんと食べてる?」
「食べてる! ヨウの体格がいいからで、俺は痩せてないよ? これでも身長も体重も平均なんだから」
少し余裕が出てきて、ヨウばかり見るのをやめ、景色へと視線を移した。祭りの明かりがポツポツと見え、とてもきれいだと思う反面、その高さにやっぱり震えてしまう。
「着いたぞ。毎年ここで花火を見ているんだよ」
誰も住んでいないような古くなった家の屋根に降ろされた。俺の足がついたことを確認すると手を離し、ヨウも隣に立った。広げていた羽を畳み、じっと見ていると羽は消えてしまった。
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