2 / 3
愛しい過去と辛い過去
子供の頃、僕は変わらず他の子供たちより成長も遅く小柄で痩せていたし、ドジでよく転ぶし人見知りな子供だった。
当時の兄はそんな僕にも優しく接してくれていた。
ことが変わったのは約3年前。
僕が13歳、兄が18の時だった。
「おかえり、お兄ちゃん。どうしたの?」
風呂上がり、部屋にいた僕は突然、部屋に入ってきた兄に笑顔でそう声をかけた。
唐突に兄に抱き竦められ、パジャマ越しに体をまさぐられ、怖かった。
兄の怒ったような表情すらも。
「お兄ちゃん?お兄ちゃん、やめてよ。どうしたの、お兄ちゃん」
「お兄ちゃんお兄ちゃん、うるせーよ」
びく、と体が跳ね、震えた。
抵抗も虚しく、兄に無理やり抱かれた。
互いに素肌で腰を打ち付けられながら、涙が止まらなかった。
どうして...?
優しかった兄の豹変ぶりが怖かった。
僕がなにかしたの...?
...僕がオメガだから....?
兄は四つん這いになった僕の腰を持ったままガンガン腰を早め、背中辺りに射精した。
行為が終わり動けないでいるとベッドの隣になにかを投げつけられるように置かれた。
涙目で見るとそれはコンドームだった、そしてよくわからない処方箋の袋...。
「知り合いからもらったピル。毎日忘れないように飲めよ、妊娠させたくないから」
「ピル...?」
処方箋を手に取り、鼻を啜った。
「いつまでもグズグズ泣いてんなよ。飲み方ならネットで調べとけ」
そう抑揚のない冷たい口調で告げ、兄は全裸のままベッドから動けずにいる僕を置き、部屋を後にした。
この日が始まりだった。
実の兄との秘密の情事...。
慣れって怖いもので嫌なはずなのに次第に感じてきた。
そんな自分も嫌で仕方ないのだけど...。
ともだちにシェアしよう!