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第13話 離したくない、離さないで

 自ら双丘を割り広げて秘部をさらけ出した。 「問題発生だ。清く正しくを貫いてたせいで、ローションの買い置きがない」  オナるところは目撃した──は、言わぬが花だ。 「ハンドクリームでもオリーブオイルでも、このさい贅沢は言わないから」  そう、せっついて襞をめくってみせるなり、ぴちゃり。パッと振り向くと、狭間に顔を埋めた明良と視線が絡む。愛読書から、ふぐりの皺の寄りぐあいに至るまで精通した仲とはいえ、玉門を舐め散らされるとなると話は別だ。 「……ん、これ、恥ずかしくて苦手」 「贅沢は言わない、だろう? それに翔馬を味わい尽くすのに、うってつけのやり方だ」 「揚げ足……ひっ、ん!」  舌が、花芯にもぐった。苔玉に水を含ませる要領で、ひとひらごとに潤いを与えていく。内壁がさざめく。つながりたい、待ちきれないと、はしゃぐように。 「ん、ぁああ……あき、ら……あっ!」  花嵐が吹き荒れた夜は、血しぶきが路面に禍々しい模様を描いた。二年後の今宵、玉響(たまゆら)に授かった肢体が、しなやかにシーツの波間を泳ぐ。 「焦らすの、なし……ちょうだい」 「まだ、だ。まだ味わい足りない」  いかがわしい水音が秘処にくぐもるのに連動して、むずかるように(なか)がひくつく。新たな蜜がにじむ端からとろみを増して、下手をすると、また弾けてしまいそうだ。 「ん、んんん……ぁあ、んん」  陽根のほうも、ファスナーを突き破らんばかりにそそり立つ。さらに舐め散らしたあとで、ようやく背後からうがつ体勢に持っていった。 「顔を見ながらが、いい……」 〝一千回〟の恩恵に浴するのは一回こっきり。タイムアップを迎えるまでの間中、五感を総動員して、明良のすべてを憶えておきたい。 「同感だ。恋人のエロい表情(かお)を拝むのがセックスの醍醐味……だな?」  耳許で囁かれて、乳首がつきつきと尖った。揉みつぶされて、身をよじったところを仰向けに組み敷かれる。腰を抱え込まれてすぐに、穂先が花芯にあてがわれた。 「ブランクが長いからな。いじった感じじゃ、かなりきつい。痛くしたら、ごめんな」  まさに恐々という(てい)で花びらをかき分ける。 「つっ、ううう……っ!」 「我慢するな。ねぶるところからやり直しだ」  かぶりを振って先を促す。圧が強まるとなおさら窄み、だが、たとえ血だるまと化しても分かちがたく結ばれたい。翔馬は目いっぱい双丘を割り開いて迎えにいった。  先端がめり込んだとたん、扉を(とざ)すように肉の環が狭まる。もっとも熱情が二年強のブランクを、あっさり埋めてくれた。  呼吸が合いはじめるにしたがって、奥へいざなうように内壁がうねる。それに応えて、雄の(やいば)がじりじりと鞘に収まっていく。  感涙にむせぶなか、番いおおせた。

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