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第10話 墜ちた魔法使い(10)

 1ー10 最高の客  こうして3ヶ月ほどの月日が過ぎると俺の体は、すっかり作り替えられてしまっていた。  アンリのいうところの男を受け入れる準備ができた体となった俺にアンリは、最後に命じた。  「これで、俺をその気にさせてみろ」  そう言ってアンリは、俺に一つの張り型を渡した。  以前の俺ならそれが何なのかすらもわからなかっただろう。だが、今の俺には、よくわかっていた。  俺は、裸でアンリが腰かけているソファの前にひざまづくとその張り型を両手で持って胸元へ捧げた。  舌を伸ばして黒光りするその張り型を舐める。  ぴちゃぴちゃと音をたてて舐めしゃぶる俺をアンリは、無表情に見つめていた。  俺は、はぁっと熱い吐息を漏らすとそれを床にたて、その上に腰を沈めていく。  じゅぶじゅぶっと俺の尻に収まっていくそれの圧迫感に俺は、呼吸を乱した。  俺は、身じろぎだにしないアンリに尻を向けると腰をあげて手を伸ばして張り型を引き出し、そして、また、押し込んだ。  「あぁっ!はぁっっん・・」  俺は、腰を揺らしながらアンリをうかがった。だが、奴は、顔色も変えずにただじっと俺の繰り広げる恥態を冷ややかに見つめていた。  俺は、床の上に座り込みアンリに向かって足を開いて張り型の入ったそこを見せた。涙に潤んだ目でアンリを見上げながら俺は、立ち上がった自分自身を見せつけると指先に唾をつけて胸のふっくらした尖りを摘まんだ。  「ふぁっ・・あぁっ!」  俺は、そのまま背をそらして精をはくことなく達した。  ぽろぽろと涙が流れ落ちて。  俺は、ぐすっと鼻をすすった。  情けなさと、恥ずかしさに俺は、声を圧し殺して泣いた。  結局、アンリは、俺を抱くことはなかった。  身支度を整えながらも涙の止まらない俺の頭をそっと撫でるとアンリは、俺に優しく告げた。  「いい子だ、ルシウス。泣かないで。私がお前を今日抱かなかったのは、お前の初めてを最高の客に捧げるため、だ。決して、お前が悪いんじゃない」  「最高の、客?」  俺は、ぐすっと鼻を鳴らしながらアンリに訊ねた。アンリは、俺に微笑んだ。  「お前のためにも、私のためにも最高の客、だ」  

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