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第13話 初めての客(3)
2ー3 キス
「泣くな」
ダグラム辺境伯がそっと俺の涙を指先で拭うと、ため息をつく。
「仕方がない、な」
ダグラム辺境伯は、俺の肩を抱きそっとベッドへと導き、俺をそこに座らせると自分の首もとを緩める。
「俺は、男は初めてなんだ。こういうときは、どうしたらいいんだ?」
ダグラム辺境伯にきかれて俺は、首を傾げた。
「俺も・・男も女も、初めてで・・」
「マジかよ」
ダグラム辺境伯がはぁっと再びため息をついたので俺は、慌てて付け加える。
「大丈夫、です。アンリ様から仕込まれたので初めてですけど、その、何をするかはよくわかってるので・・」
「ああ?」
ダグラム辺境伯が頭を抱える。
「男も女も知らないけど、奉仕の
仕方だけは仕込まれてるのか?アンリの奴、とんでもないな!」
3度目のため息をつくとダグラム辺境伯は、上着を脱ぎ捨て俺の隣に腰かけた。
ふわっと男らしいが嫌ではない匂いがしたと思ったら、俺は、ダグラム辺境伯に抱き寄せられていた。
「ダグラム辺境伯・・」
「カーク、だ」
ダグラム辺境伯は、俺にそっと口づけした。触れるだけの優しいキスに俺は、身を固くしていた。
「まさか、キスも初めてだとかいわないよな?」
「・・初めて、です」
俺は、涙声で答えた。ダグラム辺境伯は、信じられないというような表情を浮かべて俺を見つめた。
「ほんとなのか?」
俺が頷くとダグラム辺境伯は、今夜一番深いため息をついた。
「マジかよ」
俺は、ダグラム辺境伯のシャツの胸元を握りしめた。手が少し震えているのに気づいてダグラム辺境伯は、覚悟を決めたように俺に微笑んだ。
「心配するな、目を閉じてればすぐに終わる」
「ダグラム辺境伯・・俺・・」
「カーク」
カークは、俺をベッドに押し倒すとそっと囁いた。
「カークと呼んでくれ」
カークは、手慣れた様子で俺の服を脱がせると同時に自分も服を脱いだ。暖かな体に触れて俺は、なぜかほっと安心していた。
カークは、俺に啄むようなキスをしていたが、じょじょにキスを深めていく。俺は、カークに言われた通りきつく目を閉じていた。
カークの舌が俺の唇をわって入ってくる。舌を吸われ口内を掻き乱され俺は、喘いだ。
「ん・・ふっ・・」
俺を気が済むまで貪るとカークは唇を離した。俺は、口の中に溜まった液体をごくっと飲み込んだ。
飲みきれず口の端から溢れた唾液をカークが舌で舐めとりそのまま舌を這わせていく。
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