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第34話 異界の徒(4)

 4ー4 大陸一番の富豪  「なんでこんなことに?」  俺は、お湯で体を拭きながらぶつぶつ文句を言っていた。いつもならルトが湯を用意してくれるのだが今日は、ルトは、留守だから別の手の空いた男娼が身支度を手伝ってくれていた。  「仕方ないですよ、ルシウスさん」  その男娼は、名前をレオといって最近入ったばかりの新人でまだ部屋も持っていなかった。俺の部屋が珍しいのかじろじろと不躾に部屋の中を見回している。  「でも、祭りの最終日は、店は休みの筈だろう?」  俺は、乾いた布で全身を拭うとさっさと服を身に付けていった。レオは、長袖の長衣を着る俺の横で湯を張った盥を片付けながら愛想よく話した。  「さすが、この王都で最高の男娼だなぁ。急にオーナーに客の相手を頼まれるなんてすごいですね」  「まあ、そうなんだけど」  俺は、レオの屈託なさに苦笑いを浮かべた。まだ、男娼になったばかりだからか、その言動には、どこか普通の少年のような悪びれない様子がある。  俺は、レオが盥を抱えて出ていくときに駄賃として金貨を一枚やった。レオは、ぱぁっと顔を輝かせて礼を言った。  「ありがとうございます、ルシウスさん」  一人になると俺は、いつものとおり尻の洗浄を始めた。長衣の裾をめくり下半身を露出させるとベッドの上でよつんばいになり、ベッド脇のテーブルに置かれた壺を手にとりそれを尻へと近づけた。  中からどろりとしたスライムが這い出してくると俺の後孔へと潜り込んでくる。  「ふっ・・」  俺は、生き物が入り込んでくる感触に息を乱した。ぐちゅんとスライムが入り込み俺は、そのままの体勢でしばらく洗浄がすむのを待った。  腹の中をスライムに掻き回され俺の体は、じょじょに熱を持ってくる。俺は、甘い吐息を漏らした。  「んっ・・はぁっ・・」  前が反応するが面倒なので我慢する。ルトがいないといろいろ大変だからな。  俺は、洗浄がすむのを待ちながらアンリの話を思い出していた。  「ルシウス、お前にヤーマン商会の会頭をもてなしてもらいたい」  そう、アンリは、言った。  「もちろん、いつものようにでいい。『初回』で嫌なら断ってもかまわない」  俺は、ふぅっとため息をつく。  この大陸一番の富豪のお相手、か。  気が重いな。

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