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第64話 冒険者と男娼(4)

 7ー4 お楽しみ  クルーゼが立ち上がると俺の腕を掴んで立ち上がらせる。ルトが慌てて俺に駆け寄ってきてクルーゼを押し止める。  「やめてください。さもないと人を呼びますよ!」  「呼べばいいだろ?」  クルーゼがルトを突き飛ばすと俺を抱き上げた。俺は、クルーゼに抱き抱えられて手足をバタつかせた。  「やめろ!離せ!」  こいつ、アンリからここでの俺の客になるための儀式を聞いている筈なのに!  クルーゼは、抵抗している俺を気にも止めずにベッドまで運ぶとその上に俺を投げ出した。  「ふっ・・!」  ベッドの上に体を起こそうとした俺に覆い被さるとクルーゼは、無理矢理俺に口づけをしてきた。舌を吸いながら、俺の口中をくちゅくちゅと描き乱し俺の口腔へと唾液を送り込んできた。  俺は、仕方なく口の中に溜まった唾液を飲み込んだ。俺が飲み込むのを見てクルーゼは、満足げに唇を離した。  「・・ぅん?・・」  俺の心臓がどくんと跳ねて俺は、自分が状態異常を起こしていることに気づいた。体が。なんだか、熱い。  「クルーゼ・・?」  「気がついたか?」  クルーゼがにやりと俺に笑いかけた。  「少し、お前に楽をさせてやろうと思ってな、ルシウス」  クルーゼが俺に茶色い小瓶をみせた。それは、王都に出回っている媚薬だった。どんな淑女も娼婦に変えるというが、副作用が強くてたいそう評判が悪いものだ。  「お、まえ・・そんなもん、俺に飲ませてどうするつもり、だ・・」  「決まってるだろ?」  クルーゼが服を脱いで放り投げると俺に飛びかかってきた。  「お前をいっぱい哭かせてやるためだよ!」  ベッドの上の俺に覆い被さってきたクルーゼを止めようとしてルトが奴の体に手をかけた。が、軽く吹っ飛ばされ壁に激突した。  「ぐぅっ!」  壁に持たれてルトが呻く。それにクルーゼがバカにするように言い放つ。  「お前もやりたいのか?なら、後で回してやるから大人しく待ってろ!」  「・・やめろ!このクズが!」  ルトが立ち上がろうとするのに俺は、呼び掛けた。  「ルト・・外に出ててくれ・・頼む・・」  「でも!」  「心配ない、から・・」  俺が言うとルトは、背を向け部屋の外へと駆け出した。部屋の扉が閉まるとクルーゼは、にやりと笑った。  「さあ、お楽しみの時間だぜ、ルシウス」  

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