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第79話 王国の宝玉(9)

 8ー9 ルト  春になれば俺は、ジニアス王国へと嫁ぐことが決まった。  俺は、奴隷ではなくなったが相変わらず娼館『シャトウ』で暮らしていた。アンリは、俺をこの店からジニアス王国へ嫁がせるためにエイダース王国でできる限りで最高の嫁入りの準備を整えてくれた。  本来、他国の王家に嫁ぐのだから従者たちも何人かは連れていくものらしいが俺には、従者なんていない。  まあ、自分のことは、自分でできるしとかおもっていたんだが、スミルナ様が反対した。  「やはり、他国へ嫁ぐのだから使用人は何人かは必要だ」  逆に使用人の1人も連れていかなければそれは、エイダース王国が舐められることになるのだという。  ほんとに国同士の見栄の張り合いみたいなものは、どうでもいいんだがな。  しかし、スミルナ様とシャルが勝手に選んで俺に従者をつけようとするので仕方なく俺は、誰か連れていく従者を探そうとした。だが、もともと平民の俺には、そんなつてもなく、アンリに相談したらルトをすすめられた。  「ルトは、頭もいいし気もきく。何より本人がお前についていきたいと言っている」  そういうわけで俺は、ルトを従者として連れていくことにした。  ルトは、しばらく王城で基本的な礼儀作法を仕込まれることになった。  「すまないな、ルト。迷惑かけてしまうけど」  俺が言うとルトは、いつものように無表情で答えた。  「いいんだよ。俺がルシウスについていきたいんだから」  俺の荷物は、馬車2台分ほどは、あった。  馬車は、エイダース王家が出してくれることになり、ジニアス王国までの道中の警備もエイダース王国の騎士団が担ってくれることになった。  カルゼからは、装飾品がいくつも届けられた。俺は、断ったが、ヤーマン商会からは、毎日のように贈り物が届けられた。  冬が終わる頃には、ルトの教育も終わり戻ってきた。アンリは、ルトのためにも何着かの服をしたててやった。  立派なお仕着せを着たルトに俺は、目を見張った。  もともと背も高くて外見も整ってはいたが、王城で教育を受け、ちゃんとしたお仕着せを着たルトは、すごく立派でほんとに貴族の屋敷に勤めるにふさわしい若者になっていた。  

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