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02 ショーへ参加!パートナーからの愛撫①
目を覚ますとそこは全く知らない場所だった。
よく見ると近くには何人もの人が鉄棒の様な物に拘束されており、腕は左右に広げた状態で下半身は膝立ち。そして挙げ句の果てには全裸の状態だった。
世の中酷い事をする奴が居るモンだなと俺は謎の余裕をかましていると、その直後に自分も全く同じ状態で拘束されていると気付いて一気に酔いが醒めて青ざめた。
「ナンジャコリャァァ!!」
俺が突然絶叫すると、その場に居た人達全員が驚いた様に俺を見た。
すると後ろから誰かが近付いてくる音が聞こえたのでその方向を見ると、俺をここへ連れて来た張本人が姿を見せた。
「あ、起きた?気持ち悪くなったりしてない?」
「いや、してないけど!何これ!?俺誘拐されたの?」
「ちょ、人聞き悪い事言わないでよ。向かってるタクシーの中で全部説明したでしょ。覚えてないの?俺のパートナーとしてショーに出るって話してたよね」
「んなの全く覚えてない!!……ん?いや、ショーに出るとは言ったかも」
「裸になって、可愛く感じてくれればいいって伝えたら、興奮しちゃう、楽しみぃって俺にくっついてくれたじゃん。凄く可愛かったよ」
「ナチュラルに羞恥プレイしてくんなよ!…まぁ、何かうっすら思い出してきた。ショーの内容は全く覚えてないけど、どんなやつなの?」
「自慢のパートナーを紹介して、誰が一番良かったか投票するの。可愛らしい男の人や美形の男の人を可愛がって遊ぶ変態チックなものかな。お金持ちの娯楽みたいなものだから、優勝出来たら賞金はすごい額貰える。そしたら俺と君とで山分けだよ」
「へぇ、凄いな」
俺がついていけずに呆然としていると、男は俺の肌をペンでゆっくりとなぞり始めた。
「タクシーの中でも説明したけど、まずは君の感度を調べさせてね」
胸元や脇腹をなぞるペンに一切反応を示さない俺を見て、男の眉は少し困った様に下がってしまった。
「あまり感じないタイプかな?」
「感じる方がいいの?」
「うん。今から俺と、お客さんが君の事を愛撫するんだけど、やっぱり可愛く感じてくれる方がいじめがいがあるし、受けはいいよ。まぁでも感度は人それぞれだしね。自分の弱い箇所とか分かる?」
「や…分かんない」
「そっか。まぁ今日はお互い初めてだし気楽に参加する感じにしよっか。あ、ここでは本名は使わない方がいいから名前決めよう」
「あー…そういやあんた名前何だっけ?忘れちゃった…ごめん」
「さっき名乗ったのは本名だから忘れてていいよ。俺は"響 "だから今からはそう呼んでくれないかな」
「ん、分かった。響くんね。俺は何にしよう」
「俺が響だから、詩 って名前はどう?」
「可愛くていいじゃん」
「じゃあこれからは詩って呼ぶね、宜しく」
「こちらこそ宜しく」
二人で会話を繰り広げていると、隣に居た響くんと同じポジションであろう人がニヤニヤとしながら声をかけてきた。
「お前ら、初対面なの?それでこのショーに出るとかすげーな。もしかして優勝狙ってたり~?」
明らかに嫌味っぽく言ってくる男に内心腹が立ったが、チラッと響くんを見ると、ニコッと柔らかい笑顔を浮かべていた。
「そうですね。僕達、今日初めて会ったんです。出来れば優勝も夢見ちゃってます。それにしても、お兄さんとても格好良いですし、パートナーの方も凄く色気があって可愛いですね」
「あー、分かる?コイツすっげーエロくて可愛いの。お前見る目あるなァ。……お前ら二人とも可愛い系で新鮮だし、受けいいかもなァ」
響くんに褒められたからか、男は嫌味な言動をやめて嬉しそうに笑顔になった。
「そうだといいですけどね」
そうして会話をしている内に、キラキラと照明が輝き出し、客がゾロゾロと入場してきた音が聞こえてきた。俺達はステージの様な所に居るのだが、まだカーテンに仕切られており、姿は公開されていない。
いよいよ意味の分からないショーが始まるのか、と緊張していると、響くんが落ち着かせる様に頭を撫でてくれた。
「軽くショーの流れを説明するね。今からカーテンが開いて俺達とお客さんが対面する。その後にパートナーの事を紹介して、感度を見せる為に愛撫する時間になる。それが終わるとお客さん達が気に入った人の所へ行って触れる事が出来るの」
「…お、おう」
「そこで一つ詩に質問なんだけど、お客さんとキスするのは出来そう?一応今日は体を愛撫する事とキスする事は許可されてるんだけど。キスが苦手ならNGにするよ」
「…こんなショーだし、キスするのOKしてた方が受けはいいよな?」
「まぁ受けはいいだろうけど、無理はしないでね。俺が詩の立場ならNGにしてるし」
俺はどちらかと言うとキスは好きだ。でも今まで付き合った人としかした事がない。可愛い顔で見下ろしてくる響くんを見て、俺はお願いをした。
「響くん。今から俺にキスして」
「え?…俺が?」
「うん。付き合った人としかキスした事なかったんだけど、今響くんと出来たらお客さんとも出来る気がする!」
「……お客さんって色んな年代の人が居るよ。俺と出来たとしても、お客さんとも出来るとは限らないけど」
「それでも一回試してみたい!あんたとキスしてみたいの!」
「何か目的変わってない?人前だし恥ずかしいからやだよ」
「人を一番恥ずかしい格好にして晒し者にしといて何言ってんだ!」
俺がお客さんには届かない程度の音量で怒鳴ると、響くんは困った様に頬を赤らめた。突然の初々しい反応にドキッとしてしまった。
「…え、本当にするの?」
「うん。して?響くん」
目を軽く閉じて口を軽く突き出すと、響くんの手が俺の頬に添えられた。チラッと細目で様子を見てみると先程よりも頬を赤くして困った表情をしていた。
気にせずに待っていると、ちょんと軽く唇が触れた。唇が離れた後に顔を見ると、恥ずかしそうに目線を逸らされた。あまりに可愛いキスと反応にかなり興奮してしまい、つい意地悪したくなった。
「何それ。もっと深ーいのしよう?」
「…別に深くなくていいでしょ」
「早く。舌出して」
「…ん」
遠慮がちに舌を出してくれたのでゆっくりと絡めて響くんの口内を探る様に動かした。キスされるのは好きだったので、自分の気持ち良いと思える箇所を舌で舐めながらキスすると、鼻から息が抜けた様な可愛らしい声が一瞬だけ聞こえた。
「ん…詩、おしまい。もういいでしょ。どうだった?キス出来そう?」
「めっちゃ可愛い反応するね。俺ネコしかした事なかったんだけど、響くんなら攻めれそう」
「攻めれません」
「でも、キス気持ち良かった。全然お客さんとも出来そうだよ、ありがと」
「それなら良かった。けど絶対に無理だなとか思ったらキス以外でも合図してね。俺がその都度、お客さんに声かけるし、NG出すからさ」
それなら響くんのキスし損になんのになぁ、なんて思いながら優しい対応に安堵した。
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