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06 響くんとホテル①
ホテルに入るとまずソファに座った。会場を出て二人になった瞬間、一気に疲れが出て来た気がする。
そんな中、響くんはシワにならない様に服をかけたり手を洗ったり、ちょこちょこと動いていた。そんな背中を見ながら気になった事を問いかけた。
「なー」
「ん、何?」
「さっき何で俺ってイカせてもらえなかったの?客がレベル1はどうとか言ってたし、何か縛りでもあんの?」
「あ、そうそう。その事も少し話したかったんだよね」
色々と終えた響くんが冷蔵庫から水を持ってソファに腰掛けるとスマホを操作し始めた。
「今日出たショーはお客さんが言ってた通りレベル1でね」
見せてくれた画面にはショーの細かいルールが書かれており、正直読む気にはなれなかったので口頭で軽く説明してほしいと伝えた。
「俺も実はショーに出る気なかったからレベル1以外はざっくりとしか知らないんだけど、」
「じゃあ何で今日出たの?俺に声掛けたのってパートナー探してたからじゃないの?」
「先輩に前々から出る様には言われてたけど、相手居なかったし、何か面倒そうだったからさ。今日は先輩の手前、探すフリして街を歩いてただけなんだよね」
一見真面目に見える見た目からは想像つかないサボりに驚きつつ、響くんは話を続けてくれた。
「そしたらたまたま…その、詩を見かけてさ。思いっきり落ち込んでるからこのままちゃんと帰れるのか心配でつい声掛けちゃった。この後も一緒に居たいって誘ってくれたから、触れられるのとか問題ないのかなと思ってショーに誘ってみたんだよ」
「へぇ」
「まぁそこらへんは置いておいて。話は戻すけどショーにはいくつかレベルがある。今日参加したショーはレベル1で、触れられる場所やルールがお客さん側じゃなくて、参加者側の俺達の意見が優先される。今回だと触っていいのは性器までで、キスはオッケーだけど、NGはいくら出しても問題ない。まぁその分投票される確率は下がるから優勝を本気で狙いに行くなら多くはNG出さない方がいいけどね。因みにイカせちゃいけないルールはどのレベルにもないからただお客さんが意地悪しただけだよ」
「へぇ。Sなお客さんだったんだな。んで、レベルっていくつまであんの?」
「レベル3+まであるよ」
「俺がまたショーに出たいって言ったら響くんとペアで出れんの?」
「出れるよ。でも優勝者は同じレベルに出る事は出来ないから、次に出るとしたらレベル2か3だね。レベルが上がるにつれて要求される事が増えるからレベル2がいいだろうね。因みにレベル2は触られる箇所が増えるんだけど、指入れまでオッケー。レベル3はローターとかバイブとか、色んな玩具を使う事が出来るよ。それでレベル3+って言うのもあるんだけど、ちょっとしたゲームが出来るみたい。例えば玩具付けたまま◯分イカなかったら優勝しなくてもお小遣いボーナスみたいなのが貰える、とか。逆にイッちゃったらお客さんが決めた時間何されても文句言えない位に攻めれるとか」
「ふーん。いやぁ、今日さ。俺色んな人に触られて興奮した。もちろん傍に響くんが居たからだったけど、また出たい。指入れも玩具も余裕だから出ようよ」
「いいけど本当に興奮した?ヤケになってない?」
「なってないよ。会った時にも言ったけど、俺ってあんまり執着ないからもう元彼の事は忘れてる。ただあの時は予兆もなかったから受け入れられなくてあんな感じになっちゃっただけ。受け入れたらもうヘーキ。ショーに出たい理由は、興奮したのもあるけど、お金も欲しい。折角可愛らしい響くんと出会えたからもう少し一緒に居たい」
俺を見つめて話を聞いてくれる響くんの細い体にしがみつくと、優しく背中に腕を回してくれた。
「ん、俺もお金があれば嬉しいし、こんな可愛い人とパートナーになれるの幸せだからいいよ。じゃあ先輩にエントリーしてもらう様にするから、とりあえずレベル2に出ようか」
「うん!出る出る~響くん大好き!」
「軽い大好きだなぁ」
ポンポンと背中を撫でられた後、体が離れると、早速響くんはスマホを操作し始めた。
「ちょっと結果報告も兼ねて先輩に電話していい?」
「いいよ」
俺が許可すると、響くんはすぐに着信をかけた。
「理央 先輩~お疲れ様です」
『おい響!!お前連絡ずっと無視して何やってたんだよ!エントリーしてやったのにどうせ出てねんだろ!』
「ショー出てきましたよ」
『は?』
「だから、ショー。ちゃんと出てきましたよ。そんで優勝してきました。なので賞金の流れ教えて欲しいのと、次レベル2にも出るんでまたエントリーお願いします」
『ちょ、待て!ついていけない!出たなら連絡くらいっ』
「だから今連絡しましたよ?じゃ、そういう事で賞金とエントリーの件お願いします。お休みなさい」
『おいコラ…!』
先輩が何か言おうとした辺りでプツッと一方的に電話を切った響くんは、ニコッと笑いながら俺を見た。
「エントリーお願いしたから、また先輩から連絡きたら伝えるね」
「あんた中々厄介な後輩だな」
「そんな事ないよ。じゃあ先にシャワー浴びてくる」
「あ、俺も行く!」
「…え、一緒に入る気?」
「うん。今からどうせ裸見せ合うんだからさ」
「……恥ずかしいからやだ。いい子に待ってて」
頬を赤らめながら響くんはスマホを持って浴室へ行ってしまった。キスしてくれとお願いした時もそうだが、異様に照れ屋さんな所があるのはギャップがあって可愛らしい。
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