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19 響の言葉と愛撫タイム
会場に到着した頃には手は離れてしまい、色んな不安で胸が苦しくなった。
「どうしたの?平気?」
「…前にあんたがホテルでド鬼畜玩具責めしてきたから不安で仕方ねーの」
実際はそんな事よりも響くんに振られる事を心配しているが、ショーの前に揉めるのも嫌だったので適当にそう返事をした。
「それなら俺が調整出来るから何とでもなるけど、何か深刻そうだったから心配で」
スタッフさんに案内され、再び全裸でSMチェアに拘束された俺に、響くんは優しくそう言ってくれた。
「…じゃあ優しくしろよ」
「うん。そんな顔されたら流石に強く出来ないよ」
響くんが激しくしなければ、きっとショーも盛り上がらなくて、優勝出来ずに次もまたレベル3に出れるだろう。
告白して振られてしまうより、そっちの方が長く響くんと居れるはず。そんな事を考えていると、今まで通りカーテンが開き、各々がパートナーを紹介する時間が始まった。
今回は玩具責めなので、パートナーの紹介・愛撫タイムでも使用され、無機質な機械音と共にパートナーの可愛らしい声が会場に響いていた。
もちろんこの時の俺は無。何も感じる事も出来ずただ終わってからの事だけを考えていた。
「詩」
他のパートナーの紹介の最中、そんな心ここに在らずな俺を心配したのか響くんが耳元で話しかけてきた。
「何?」
「本当はショーが終わってから言おうと思ってたんだけどさ」
「うん?」
「好きだよ」
「は?」
「今日このショーが終わったら、俺と付き合ってくれませんか」
「…え?何…?」
どんなタイミングで告白してくんだコイツと思いながら響くんを見ると、面白い位に耳まで赤くなっていたので、冗談なんかではなく本気のものなんだと理解した。
「もしかしたら今日が最後になるかもしれないじゃん。なのにずっと上の空だし、何か心配でさ。最後は詩と最高に楽しいショーにしたい」
「…もし俺が振ったら気まずい最悪のショーになるんじゃないの?」
「振られない自信があるから」
「……自意識過剰かよ」
「返事は?」
「……こ、ここで?」
「うん」
「…え、……っと、」
まさか逆に告白されるなんて思ってなかった。しかもこんなショーの最中に。でも、終わってからどうやって切り出そうとか、振られたらどうしようとか、色々心配していた気持ちは全てなくなったのは事実で。
「……宜しく、お願い、します………」
今の俺にはそう言うのが精一杯で、俯きながらそう呟いた。顔は熱くて仕方ないのできっと真っ赤になっているんだろう。
「良かった。これで少しは落ち着いた?」
「え?」
「違ってたらごめんね。もしかしたらショーが終わってからの事を心配して、心が何処かにいってるのかなと思ってさ」
「……ショーが終わったら、響くんに告白しようと思ってて、その事ばっか考えてた。振られたらどうしようとか、色々考えてたら不安で。…でも、よく分かったな」
「たった数回しか会ってないけど、俺は詩のパートナーだからね。時間は短くても、誰よりもしっかりと見てたから」
「…ん」
みんなが別のパートナー紹介に夢中になっている中、響くんは俺の横へしゃがみ込むと、人前では嫌だと言っていたキスをしてくれた。今俺達にはライトが当たってないので、見えにくいからしてくれたんだろう。
「大切にします、これから宜しくお願いします」
「…ず、るい…」
優しく微笑んで俺を見る響くんは、とても可愛くて、でも何処か男らしくて、少しの格好良さがあった。
「これが終わったら恋人として詩のお家に行かせてね」
最後にもう一度キスが贈られると、盛大な拍手が起こり、前のペアの紹介が終わった事を知らせてくれた。それを聞いて響くんは立ち上がると、最後はまた俺達だった。
いつも通り爽やかな笑顔で挨拶する響くんだが、何処か嬉しそうで自然な笑顔が溢れていた。そんな姿を見ながら、さっきの言葉を思い出して浮かれていると、突然耳元で話しかけられた。
「詩、今から愛撫タイムだから戻ってきてね。いっぱいいじめてあげるからね」
「あ…っ」
ハッと意識が戻ると、目の前には大勢のお客さんがこちらを見ていた。そしてキラキラ光る照明。既に挨拶は終わったらしく、愛撫タイムに入るようだ。
「では僕はこの筆を使って愛撫しますね」
お客さんに向けて筆を持った響くんは、腋から脇腹をスッとひと撫でした後、胸元をなぞり始めた。
「…っん、」
「乳首勃ってきてるね、みんなに見られて恥ずかしいの?」
「違…っ、」
「今までぼんやりしてた罰ね?」
柔らかい毛先が乳首の先を撫でるとピクンと体が跳ねた。少しだけチクチクした刺激が気持ち良い。
「んぅ…っそこ、やだ…っ」
「可愛い」
「…っ、」
今まで散々可愛いと言われてきたが、気持ちを伝え合った後に言われるとぶわっと顔が熱くなった。
「…何でそんな照れてんの?可愛いんだけど」
「だ、て…っひ、響くんに…言われたら、恥ずかしい」
「へぇ、俺に言われたら照れんの?…んじゃ後でいっぱい言ってあげるよ」
お互いにしか聞こえない音量で会話した後、筆は足まで降りてきた。
「胸触っただけでもうこんなに濡れてますね」
照明に反射して光る先走りを指摘されて、また顔が熱くなる。
「…っ、あ、あ!やめ…っ」
「泣いてるからいっぱい撫でてあげるね」
竿を支えられ、先端を筆で撫でられるとビクンと体が跳ねた。
「あ…!そこ、やだ…っ!やだ、やだっ」
「愛撫タイムでイク気?早すぎるから我慢しなよ」
「じゃあ…っ、筆やめろ!やめろってばぁ…っ」
尿道口に毛先が当たるとガシャっとSMチェアが音を立てた。
「ぅ…っ、ぅあ、…っ!やばい!やば……っ、」
チカチカと目の前が光り始めて、足がピンと伸びると、響くんは俺の耳元で囁いた。
「恥ずかしい、筆で撫でられた位でイッちゃうの?」
「ぅ、るさい…っ!るさい、やぁ…っ」
「可愛いね、詩」
「…い、わないで…ばかっ…」
フルフルと体を震わせてイカない様に力を込めると、パッと手が離れていった。
「僕の愛撫タイムは以上です。新しい筆もたくさんご用意していますが、他の方が使用されていたローターやバイブ等も用意していますので好きなものを選んで下さいね。本日も宜しくお願いします」
俺が足を震わせて息を荒くしていると、盛大な拍手と歓声が会場中に広がった。
「では、全てのペアの愛撫タイムが終了しましたので、次は触れ合いタイムです。皆様、好きな子の所へお並び下さいね」
司会者がそう伝えると、今回もレベル1、2の時に来てくれた人達が沢山並びに来てくれた。
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