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Rendezvous03 小悪魔プリンス13 ケダモノの恐怖 ※
「ん、ふっ……ぅう!」
エリオットの舌先が、ミチルの口内をかき混ぜ続ける。
息が出来ない。
視界も少しずつ白くなってきた。
「んはっ、あっ……!んぁ……」
急に離された唇から、ミチルは酸素を取り込んだ。
息を整える間もなく、下半身へ与えられる刺激がいっそう強くなる。
「あっ……!あぁ、ん、やぁ……」
エリオットの指先がミチルを追い込んでいた。先端からはもう、断続的に蜜が溢れ出ている。
それをにちゃにちゃとミチル自身に擦り付けるエリオットの手が、容赦ない複雑な動きでミチルを昂めていった。
「あ……あん、あっ……あぁっ!」
エリオットの手の動きに合わせて、自分から信じられないくらい艶かしい声が出る。ミチルは恥ずかしくて涙を零していた。
「うぁ……もう、あっ、出ちゃう……やぁ……」
「とりあえず、一回イケよ……夜はまだ長いんだからさぁ」
「はっ、はぁ……ああっ!」
「イイ声、聞かしてくれよ……」
エリオットがそう耳元で低く囁くとミチルの全身が震える。そのままその首筋に歯を立てた。それと同時にミチルを握る手にも力を入れて、指先で先端に爪を立てる。
「ああああっ……ッ!」
達したミチルの視界はチカチカしていた。何も考えられない。涙でずぶ濡れのまつ毛がその視界を歪ませている。
ビクビク震える下半身にはもう力が入らなくて、ミチルは泣きながら体全てをベッドに預けた。
「いっぱい出たな……どうだった?気持ち良かっただろ」
「う、うぅ……」
羞恥と屈辱で、ミチルの嗚咽はますます酷くなった。けれど、そんな姿はエリオットをさらに昂らせる。
「なあ、ミチル……こっちも、いいだろ?」
エリオットの指が更に奥にまわる。そこも既に濡れ始めているけれども、まだ固く閉ざされていた。
「力、抜けよ……」
人差し指でそこを撫でながらエリオットが甘く囁く。快感が襲うけれど、ミチルは既に別の感情に支配されていた。
恐怖と、羞恥からくる嫌悪に。
「ヤダ!もうヤダ!やだぁ……ぁあ」
「ミチル?」
「うあ、ああぁ……っ!」
ミチルは大声で泣きじゃくった。
なんてみっともない姿なんだろう。
下半身を性欲にまみれた液体で濡らし、尚も欲しがる情欲を持て余す。
そんなの、ただのケダモノだよ。
ミチルは自分の奥から覗かせる、否定したいモノを恐れて泣き続けた。
情けなくて、怖くて、悲しい。
「ミチル……」
その姿に、エリオットも少し冷静になった。
可愛くて、愉しくて、ついいじめてしまったと反省する。
「……わりぃ、やり過ぎたよ」
エリオットは沈んだ、けれど優しい声でミチルの頭を撫でる。
「ふぐっ!ううっ、ひぐっ……!」
そんな声をかけられたら余計涙が出る。イケメンの声はほんとに腹立たしい。
「ゴメン、ミチル。もうやめる」
エリオットはそう言いながら、めくれ上がっていたミチルのパーカーを元に戻した。
「だから、泣き止んでくれよ。そんで起きてくれ……」
「……ぐふっ」
こんなミチルにも男としてのプライドがある。相手が折れたのだからいつまでも泣くのは卑怯だ。
涙と鼻水を垂れ流しながら、ミチルは上体を起こしてエリオットをギロッと睨みつけてやった。
ビビるかと思ったら、エリオットはそんなミチルを見て愛おしそうに吹き出した。
「フッ!ブスだなー」
「おっ、おまー、のっ!せい……ぐふっ」
「……悪かったよ」
エリオットはミチルに手を伸ばし、涙を指先で拭う。その体温がとても優しくて温かかった。
一旦ベッドから降りたエリオットは、タオルのような布を持って戻ってきた。
ミチルの知るタオル生地ではないけれど、とても柔らかくて安心する感触だった。
エリオットはその布で、ミチルの下半身を丁寧に拭いてくれた。
なんか、赤ちゃんみたい……
ミチルの中で別の恥ずかしさが込み上げる頃、エリオットはパンツとズボンをミチルに返す。
「履くだろ?」
「うん……」
ミチルはそれを受け取ってもそもそと履いた。その様を見られているのも恥ずかしかった。
「あーそろそろ夜が明けるな」
白みはじめた窓を見ながらエリオットは残念そうに言った。
「朝日を浴びたらおれはまた15のガキに逆戻りだ」
「そ、そうなの?」
「だからさ、ミチル……」
エリオットは少し躊躇いながらも、ミチルを引き寄せる。そんな切ない顔をされては、ミチルも抵抗できなかった。
「もう少しでまた魔法がかかってしまう。それまで抱きしめさせてくれよ……」
ふわっとミチルの体を包んだエリオットは、そのままベッドの上に倒れ込んだ。ミチルの髪の毛に顔を埋める。
「エリ……オット」
「うん。忘れないでくれよな、おれの名前……」
ばいばい。
エリオットの優しくも悲しいその一言を聞いた後、ミチルは急に体がだるくなって意識を手放した。
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