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第12話
帰宅をし、晩御飯を食べ終えて、だらだらとしていると一通のラインが届いた。相手は出雲からだったので内心驚きながらも、内容を確認する。
内容は晴明についてであり、務めているバーを教えてほしいという事だった。そんなの本人に聞けばいいじゃないかと思ったし、独占欲から話したくない気持ちもあった。断る理由を考えるが思い浮かばず、とりあえず確認の為に晴明に聞くことにした。
「晴明。出雲が務めているバーを教えてほしいって言ってきたんだけど、教えてもいいかな」
「えっ、いいですけど。雨霧さんは大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。伝えるだけだから」
晴明は読書中にも関わらず嫌な顔をせずに逆に心配そうな表情を見せてくれたのに対して、雨霧は安心させるため微笑んで誤魔化した。
本当はブロックをしたい気持ちもあるが、出雲はイラストレーターをしており、時々一緒に仕事をするからしようにも出来ない。何故出雲は晴明に興味を抱いているのだろう。ただの友達になりたいという気持ちならばいいのだが、もしものことがあったらと考えると怖くて仕方がない。
とりあえず返事をしなくてはと思い、ラインに晴明はバーレインに務めていると返信すると、ありがと~今度行くねと伝えてねと書かれていた。きゅっと唇を噛み締めて黒い感情を抑え、落ち着いたので口を開く。
「出雲から伝言で今度レインに来るって」
「そうですか。その時は歓迎しないとですね」
仕事だからという理由だからと分かってはいるものの、出雲に優しくする晴明を見たくはない。晴明が悪いわけでも出雲が悪いわけでもなく、自分が抱いた恋心が問題なのだ。
出雲には革靴の男が今はいると信じているが、もしも惚れた場合自分は勝てる気がしない。
だから、惚れてほしくないし会ってほしくないという気持ちが勝ってしまう。浅ましい自分が表に出ないように我慢することは慣れているけど、失恋する痛みは慣れることはない。
「そろそろ寝ましょう。疲れたような顔をしてますよ」
「あっ……、そうだな。そろそろ寝ないと」
また気を遣わせてしまったと罪悪感を感じながら寝室へと足を運ぶ。二人で寝ることにもなれてしまったから、1人冷たいベットに寝るのが怖いくなった雨霧がいた。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
いつの間にか独り立ちしなきゃという思いよりもこのままずっと傍にいたい思いの方が強くなっているのを感じながら瞼を閉じた。
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