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第7話
その日の夜、那央から電話がかかってきた。発作でも起こしたかと心配しながら、もしもしと言うと元気そうな声が返ってきた。
(雅也さん、ごめんなさい。俺お釣り渡してない。うっかりして、気付いてなかった)
「那央君、俺手紙も一緒に入れてたんだけど」
雅也は鞄の代金は五千円と話しはついていたが、一万円を封筒に入れていた。電話口の向こうでカサカサと紙を開く音がすると、しばらくの沈黙。おそらく那央は手紙を読んでいるのだと思った。
(雅也さん…ありがとうございます。本当に甘えていいんですか?俺から押し付けてしまったのに)
「いいんだよ。さっき早速、明日から会社に持って行こうと思って入れ替えしてたんだけど、めちゃくちゃ収納力あるね。タブレットも余裕で入ったし。俺の方こそありがとうだよ」
(あの、お礼というか…次のお休みの日に、うちにご飯食べに来ませんか?)
「えっ…那央君が作ってくれるの?」
(はい。俺、この一年で料理に目覚めてそこそこ上手に作りますよ)
雅也は那央の家で出してもらった麦茶を思うと料理もそこそこ上手という那央の言葉は信憑性があると思った。
「じゃあ本当に行っていい?最近コンビニ弁当ばっかり食べてたから、嬉しいよ」
次の土曜日の昼に、また那央の家に行くことになった。
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