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第13話

 那央の隣人は、当初の予定より早く引っ越すことになった。大家は家賃の取りはぐれがないことを喜んだ。  那央がいるところを生活の部屋として、雅也が新たに借りる部屋を物置きと那央の勉強と学習塾のオンラインバイトの部屋にすることに決めた。  雅也は引っ越し当日に届くように、ダブルの布団をネットで購入していた。注文確定のボタンを押す時は少しニヤついた。  那央は黒い丸型の相棒と今まで使っていた布団は今回を機に処分すると言った。これからは雅也が傍にいてくれて、直ぐに助けてくれるから大丈夫だと。 「なんか、戦隊ヒーローになった気分だな」 「そうだよ。俺のヒーローだよ。ピーマンが苦手のね」     那央は引っ越しの準備をしながら、笑っていた。雅也は、そのうちピーマンと格闘する日がやってくるのかと、少し気がへこんだ。  引っ越し当日、雅也はある程度は処分をしてきたつもりであったが、実際にアパートに運び入れると家具意外の荷物もまぁまぁの量があった。那央はその荷物を見ても、いたって楽しそうに片付けていた。 「ごめんな。結構処分してきたつもりだったんだけど…」 「ううん。楽しいよ雅也さんの荷物見るの…なんか変な物でてきたりして」 「ない、ない。あるわけないだろ」  雅也は心の中で全部処分したことを思い返していた。 「あっそうだ。雅也さん…お布団ありがとう。新しいの買ってくれて」 「午後一で届く予定だけど。色々食事とか助けてもらうんだから、布団くらい当然だよ」  雅也はダブルの布団を買ったことを那央に言っていなかったことを思い出した。急に気恥ずかしくなったが、届いた時の反応を見るより先に言っておこうと思った。 「あのさ…布団…ダブルなんだけど…いいよね」 「うん、もちろん。だって手を繋いでもらうんだもん…一緒がいいよ」  那央も少し照れているようだった。  午後一に布団も届き、ある程度片付けられると、もう夕暮れになっていた。 「雅也さん、お疲れ様。お腹空いたでしょ?お蕎麦買ってるから、今から作るね」 「ありがとう、お腹減ってきたし頼むよ」  しばらくすると、お出汁のいい香りがしてきた。雅也はこれからの生活が楽しみになった。

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