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そしてその様な甘い甘い日々を送っていたある日のこと… 今日はカズオミが出張2日目で帰っては来ない 定期的に『おはよう』や『これからトイレ掃除するね』とカズオミに連絡する すると『僕はこれから午前午後と会議だよ。疲れる。早くミコトに会いたい』と帰ってくる なぜこんなことをしているのかと言うと 以前、『僕は臆病なんだ…。またミコトが居なくなってしまったらと考えると仕事どころじゃない』と言われ少しでも安心して貰えるよう定期連絡をすることになった ずっと家にいるミコトにとっては唯一コミュニケーションが取れるものなので楽しみで仕方なかった それでも送りすぎても仕事の邪魔になると思いそこまで送らないよう心がけている 「さて、今日はこの間洗濯できなかった衣類系をやっちゃうか」 そう思いベランダに出ると見覚えのないハンカチが落ちていた 「…なんだこれ?」 拾い上げてみるとふわふわの青いハンカチだった 「あ!あの!!すみません!」 「へ?」 すると上の階から声が聞こえた カズオミとカズオミの知り合い以外で声をかけられたのは記憶上初めてで変な声が出てしまう 「すみません。上の階の者です!」 その声にベランダの柵から身を少し乗り出し見上げると逆光で顔が見えづらいが若めの男の人がこちらを覗き込んでいた 「そちらに俺っ…私のハンカチが落ちてしまっ……て……」 「…え、あ、これですか?」 と、持っていた青いハンカチを掲げた しかし上の男性からの返事がない 逆光で顔も見れないので表情が掴めない 「………あ、あの……」 「……………………ッあ!!!!そ、それです!!すみませんっ!今取りに行きます!!」 そう言うと男性は姿を消してしまった 「…………………え、これから来るって言ってなかった…?」 男性に声をかけようにもいなくなってしまったのでどうにもならない ど、どうしよう………。カズくんに連絡…? でもカズくん今日は会議って言ってし… でも勝手に玄関開けちゃったら怒るかな ネットスーパーもコンシェルジュサービスで玄関先に置いておいてくれるから対面じゃないし でもハンカチ返すだけだし…一瞬なら いやでも…一応カズくんに連絡を… とミコトが頭をフル回転しながらカズオミにメッセージを送ろうと携帯を取り出した瞬間ピンポーンと軽快なチャイムがなった 「来ちゃった……」 どうしようと悩んでいるとまたチャイムがなる 「と、とりあえず玄関までいこう…」 忍足で向かうと微かに扉越しの男性の声が聞こえた 「あれ?ここだよな?…すみませーん」 とまたチャイムが鳴る 「…………………さすがにでないとマズイよね…」 一瞬。一瞬だから… そう思い言い聞かせ 恐る恐る扉を開けた 「あ!良かった。居たんですね!」 開けるとそこには短髪の20代後半のサラリーマンっぽい人がたっていた。 普通の20代後半の運動してそうな男性なのに何故か顔から目が離せなかった 「…………ハッ…。ごめんなさい。これ落ちてたハンカチです」 「ありがとうございます!これ貰い物で無くしたってなったらドヤされる所でした」 ハンカチを受け取った男性は嬉しそうにはにかむ えくぼが見え、目が細められる顔 胸の中がモヤッとした 「………い、いえ…それじゃ」 そう言って足早に玄関のドアを閉めようとしたら ぐぅ~~っとミコトのお腹の音が静まり返った廊下に響く ブワッとミコトの顔全体が赤くなった 「────ゔぅッ!?…す、すみません!!」 すごく恥ずかしくて目の前にいる男性に凄い勢いで陳謝する 目の前の男性は目をぱちくりさせた後「あははっ」と大笑いしていた 「そ、そんなに笑わなくても…」 「ハハハッ!すみません。顔に似合わず豪快にお腹を鳴らすもので…ぎゃ、ギャップが…ブッ、フフフ」 睨みつけるミコトだが効果はイマイチのようで、未だに腹を抱えて笑っている男性 そういえば今日は家事や連絡に夢中になり朝ごはんを取り忘れていた。そして時刻は昼過ぎ… お腹がなって当然だった

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