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「ご、ごめんなさい…。とても怖い夢を見てて…」 「…そっか…。大丈夫かい?」 しゃがんでミコトと視線をあわせ安心できるようにと撫でたり、ぎゅっと優しく抱きしめてくれるカズオミ 「…………………うん。大丈夫……」 ふと半ズボンを捲り太ももを触る そこは傷も何も無い少し皮膚が硬い太ももがあった 「………本当に大丈夫?」 ミコトの行動に首を傾げるカズオミにニコリと笑って返す 「うん。ありがとうカズさん。」 とりあえず落ち着いたミコトを見てカズオミも一息はく 「……………あれ?カズさん出張だったんじゃ…」 カズオミは昨日今日と2泊3日の出張。帰ってくるのは明日の夜だったはず なのに何故ここに居るのか疑問に思う 「あぁ。ミコトからのメッセージがなくて何かあったのかと思って……仕事放って帰ってきちゃった」 「………え」 仕事を放って帰ってきた。そのワードにミコトは冷や汗が止まらない 今日は会議だったはず。しかも出張先で。これはとても大切なものだったはず… それを放ってきてしまった。ミコトが連絡せずに寝ていたから ミコトは罪悪感で潰されそうになった 「……ご、ごめんなさいっ!!」 何度も頭を下げる これで許してもらえるかは分からない。 でも謝らないことには何も始まらない 心臓が早く鼓動するミコトとは対照的にカズオミはヘラヘラとわらっていた 「大丈夫だよ。ミコトが最重要だから。仕事先にも色んな理由つけて来たから理解してくれてるよ」 「……………で、でも…」 「僕はね、家にミコトが居て怪我もなんにもない事が1番良かった。だから安心して」 「…カズさん…」 抱きしめてくれる腕に力が入った 心地いいと感じる。ずっと抱きしめてもらいたいと思う。離れたくはなかった 「あ!でも今後はちゃんと定期連絡してね!」 「……う、うん!わかった!!ちゃんとするね」 「うん。いいこだね。」 後頭部を包むように撫でてくれるカズオミ 抱きしめてくれてるおかげかカズオミの匂いがする とてもとてもいい匂いだ。 お日様のような素敵な匂いだとミコトは思った しかし、そんなミコトは気づいていなかった 部屋の四隅に黒く光るカメラがあることに 「ところで……これは何?」 カズオミが指さしたのはテーブルに置きっぱなしにしてしまった食べかけの麻婆豆腐丼だった 「あ、えっと……」 「シンクに知らないタッパーもあったし……………誰の?」 カズオミに見つめられ言葉を失う 今なら蛇に睨まれた蛙の気持ちが理解出来るミコト 「…………あ、あれは…」 どこから説明しようか 一から…?下手に隠しても絶対バレる… これは隠さずに伝えなきゃ 「………べ、ベランダで…」 カズオミに終始今日の出来事を話す。 理解したカズオミは「そっか」と言ってミコトから離れた ぽっかりと空いたミコトの腕 「ならタッパー返してこなきゃね。」 カズオミはテーブルに置いてあった食べかけの麻婆豆腐丼を手に取るとシンクの方へ向かった そしてあろう事か残った麻婆豆腐丼をディスポーザーの中にぶち込んだ 「え、何してるの!?」 慌ててミコトもキッチンに向かう カズオミはディスポーザーの蓋を閉めて起動させる 「何って誰が作ったか分からないものミコトは食べちゃダメじゃないか」 「………………ッ」 こちらを向くカズオミは笑顔だった。 でもその笑顔がなんだか怖く ミコトはそれ以上何も言えずただ粉砕されてく麻婆豆腐丼の音を聞くことしか出来なかった 「………さて。ミコト、タッパー今すぐ洗って返しに行こうか」 手際よくカズオミがタッパーを洗う 「あ、カズさん、それ僕が…」 「…………ダメだよ。ミコトは顔洗ってきな。泣いてたから目が腫れちゃうよ」 「………………うん…わかった」 顔を洗いに行くミコトをジッと見つめるカズオミ その目は暗くミコトの先を睨みつけるようだった

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