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ピンポーン……
ミコトはカズオミと共に上の階に居た
先程の男性の家だと思われるインターホンを押すと
部屋着姿の男性がでてきた
「あ、さっきの方」
目をぱちぱちさせる男性。
ミコトを見つけた瞬間、柔らかい笑みを浮かべる
「あ、あの……さっきは……「こんにちは!!私の番がお世話になりました」
ミコトの言葉を遮りカズオミが前に出る
「………え、番?」
「はい。この子は私の番でして。お腹を空かせていたところをご飯を恵んでくださったらしく
気を遣わせてしまったようで申し訳ございませんでした。」
「あ、いえ。全然。むしろ押し付けてしまった形っていうか」
ブンブンと首を振る男性
「いえ。あの、甘いものはお好きですか?」
「え?えぇ、まぁ…」
「でしたらこれ良かったら!最近ハマってる老舗のカステラなんですが。」
カズオミが出したのは有名店の高級和菓子だった
それを見て男性は目を見開く
「え、い、いやいや、貰えませんよ。ただのよくある麻婆豆腐のために…」
「いえ、お腹を空かせた可愛い私の番を救ってくれたのですから当たり前です。」
カズオミはミコトの腰に手をやり引き寄せると男性に見せつけるように項にキスをした
「─────ッふ」
ミコトの頬が真っ赤に染まる
人前でイチャつくのは初めてで反応に困ってしまう
その後も男性に見せつけるように耳や頬、頭などにキスを落とす
触れるだけのキスなのに勝手に甘い吐息が漏れる
その扇情的な表情に男性は生唾を飲み込む
カズオミは男性がミコトの事を見つめていることが愉快で仕方ない
「おっと、失礼。1度キスをすると止まらなくて」
爽やかな笑顔とは裏腹にミコトの腰を離そうとしない
ミコトが少し離れようと身をよじるも強い力で戻されてしまう
「あ、あぁ…。まぁ、こんなに綺麗な方相手だとそうなりますよね」
「はい。こんなにも美しい彼が私を選んでくれた事が一生の幸せのようです。そんな彼を救ってくれた貴方にも少しでもと思ったものなので受け取ってください」
紙袋からカステラがはいった箱を取り出し男性に押し付けるが如く前に出た
「ほ、本当ですか。なんか逆に申し訳ないです 」
「いえ。今後ともよろしくお願いします。」
「…は、はい。」
恐る恐る箱を受けると男までも魅了してしまう程の整った笑顔を向けた
男性もその笑顔に同性ながらも一瞬見とれてしまっていた
ずっと俯いてるミコトなどもう男性には見えていなかった
「では。あまり玄関先で長いしても失礼ですので…」
「あ、あぁ!すみません何も出せず」
「いえ。そちらの用事も無視して急に伺ったのはこちらなので。それでは……。」
ミコトとエレベーターに向かう
そんな2人を眺めつつβとの違いに男性は打ちひしがれていた
────ガチャ…
静まった玄関にいつもより大きい開閉音が響く
ミコトは感じ取っていた
番だから、一緒にいるから、近くに居たから
……………………カズオミは怒っている
ミコトを置いてリビングに行ってしまうカズオミ
どうしたら良いか分からず靴が脱げずにいた
そんなミコトを見てカズオミはリビングに来るように促す
「早くおいでミコト。」
その声色に震えた
怒られる…………。その事だけしか頭が回らない
玄関で佇むミコトをちらりと見てカズオミは深いため息をはく
「………ねぇミコト、彼が作ったもの食べたのって何時?」
「……え、あ……えっと………13時過ぎぐらい」
俯きながら伝えると
カズオミは腕時計を確認した
「そっか……ならもう殆ど消化されちゃってるね。ね?ミコト」
「……………ごめん。分からない…」
意図が分からず返答に困っているとカズオミが玄関にまでやってきた
「ねぇミコト。お風呂入ろうか。」
「ぇあ、でも…まだお風呂洗ってなくて……」
「大丈夫。シャワーでいいよ。早く」
ミコトの返答も聞かず腕を掴んで脱衣所に向かう
カズオミの顔は終始笑顔なのに声色やミコトの腕を掴む力などからいつもと違うことが分かる
「あ、あの…カズさん…」
謝ろうと思っても無視され服を脱がされる
あっという間にミコトは真っ裸されてしまう
「あれ?カズさんは脱がないの?」
何故か服を脱ぐ様子はなくワイシャツの袖をまくっているカズオミ
またミコトの言葉は無視
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