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「………………ぅん…」
頭を撫でられる感覚に目を覚ますといつものベッドの上にいた
ふかふかの心地よいベット
そしてベッドの端に座り優しい手つき撫でる大きな手
「ちょっとだけ気を失ってたね」
カズオミが言うには10~20分程眠っていたらしい
その間に衣類を着せベッドまで運んでくれた
「………カズさんごめんなさい。僕、カズさんが今日ずっと会議って言ってて…あまり連絡するのも困らせちゃうかなと思って…。一瞬だけなら大丈夫かなと思ったんだけど……………………約束破ってごめんなさい…」
「……………うん。次からは気をつけてね。」
「わかった。もう勝手に開けない。知らない人とは喋らない。カズさんにちゃんと聞くし……いい子にする…………………だから…ッ!!」
ガバッと勢い良く体を起こすと一瞬目の前が真っ暗になる
………目眩だ。
カズオミはグラつくミコトの背を優しく支えてやる
「………だから……カズさん……」
「………………」
静かに見つめ合う2人
カズオミはミコトの言葉を心待ちにしているかのように何も口出しはせず聞き入れる
「………僕のこと………まだ好きで、いてくれる?」
不安で眉が下がる
はたから見たら情けない男なのだろうが今のミコトに客観的視点に拘る余裕は無い
そんな不安気なミコトに優しく微笑む
親が子を撫でるかのように頭に触れるカズオミ
「……うん。大好きだよ。ミコト」
その言葉にミコトは目を見開き嬉しそうに噛み締める
大好き……。そのフレーズだけで簡単にミコトの心拍数は上昇していく
「そういえばミコト、もう時期ヒートじゃない?」
「え…、あー。そういえば」
カズオミの言う通りあと数日でヒートの予定だ
最近眠気やダルさが出るのはこのせいかと1人静かに納得するミコト
そんなヒートだがカズオミと番関係であるミコトにとっては特に懸念すべき点はないのだが
1つ悩ましいことがある
「………………今回は抑制剤とかって…」
「ミコトは僕がいるから要らないでしょ?毎回聞いてくるけどそんなに辛いの?」
カズオミは毎回抑制剤をくれない
カズオミの言ってることは理解出来る。番がいれば番と致せば事足りる
しかし、ミコトにとっては性に狂った姿を愛しい番に見られたくは無い
ましてや事後、確実に来る知人にも
抑制剤があればそんな姿見せずに少しは冷静に対応できるのだが
カズオミはくれない
「それに、抑制剤なんて使ったら赤ちゃん、出来ないだろ?」
そう言って後ろから抱きしめミコトのお腹を撫でる
その手つきが妙に擽ったい
「ここに僕とミコトの子を宿すんだ。絶対可愛いよ。………ただでさえ男性Ωは赤ちゃんが授かりにくい。加えてミコトの子宮は他と比べて小さいから着床しにくいし流産しやすい」
カズオミの言葉にミコトは息を飲んだ
そう。ミコトは赤ちゃんが授かりづらい体なのだ。
だが授からない理由はもう1つあり
そもそもミコト自体が赤ちゃんを欲していなかった
カズオミの事は心から愛している
しかし、何故だかモヤモヤとした何かが頭をよぎるのだ
本能が言ってるのか無くなった記憶が言ってるのか……
でも、その事実はカズオミには伝えてない
何となく……ただ何となく怖かったから
何度かきたヒート中に何度も中出しされ妊娠させられかけた
薬や元々の体質のおかげで今のところは大丈夫なのだが………時間の問題のような気もする
「ねぇ、ミコトも僕達の子早くみたいよね?」
ふと話を振られてパッとカズオミの方をむくと彼は有無を言わさない笑顔でいた
「……ウ、ウン……。いつか来てくれると良いね」
「そうだね。ミコト…愛してるよ」
満足気に言うと項の噛み跡にキスを落とした
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