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第7話 ○○しないと出られない部屋

気がつくと白い部屋にいた。 さっきまで、漫画を読んでゲームをして課題をやって昼寝をしていたら。 嘘みたいな話だと思うが、本当のことだ。 辺りを見回してみても白一色。 「何だこれ…」 窓もないし、扉もない。 スマホを見ても圏外となっている。 「すみませーん!!誰かいませんかー!!」 人を呼ぶために大声を出しても何も反応はない。 打つ手はなしと言うように河村はへたり込んだ。 「どーすりゃあいいんだ…」 「…久?お前もいたのか…っ!」 何処からともなく現れたその人物は幼馴染である七瀬だった。 「修也?!何で…」 「さっきまで自分の部屋にいたんだけど、何故かここにいたんだよな」 自分と全く同じである。 パーカーにTシャツ、ジャージ+メガネというラフな格好でもイケメン度が伝わってくる。 河村の想い人である七瀬を目の前に気が気じゃなかったが、さっきまでの不安が少し和らいだ気がした。 「…大体、ここ何処だ?窓も扉もない、怪しすぎる」 「マジで、どうしてくれんだよ…詰んだ」 すると突然、大きな音が鳴り、建物が地震のように揺れた。 「なっ!?」 「?!」 ガガガガガと地響きが鳴り、河村はバランスを崩して尻餅をついた。 揺れが治るまで立つのは危険なため、しばらく座って様子を見ていた。 「大丈夫か?」 「ありがと」 七瀬から手を差し出され、手を掴んで立つと少し様子が違っていた。 「修也…あれ」 「なんだ…?」 テーブルには怪しい液体が入った瓶が数本。ゴムが一箱。ダブルベッドが一つ。 そして壁に貼り紙が貼ってあり、内容は、「セッ○スしないと出られない部屋」と書かれていた。 「は、はああああああ?!!」 「二次創作でよく見るシチュエーションだな」 「冷静にしてる場合か!」 七瀬はテーブルのそばに寄ると液体が入った瓶を掴んだ。 「多分、媚薬だな。誰が何のために用意したのか…」 「び、媚薬…って」 一体何が起きているのか見当もつかない。 まず何故、七瀬と二人きりなのか。ここは一体何処なのか。 「ま、考えても仕方ねーよ、こういう時は焦ったら負けだ、冷静に行こうぜ」 「そうだな…」 冷静にと言われても想い人を目の前に意識をせずにはいられなかった。この部屋を出るためにはやるしかない。 そう分かっていても、かなり勇気がいる。 そして何より、今までの関係が壊れてしまったらと考えると立ち直れない。 「とりあえず、今までの状況をまとめてみようぜ。」 「おう。」 「俺は、学校から帰ってきて課題やって、犬の散歩をして、漫画を読んでたら気づいたらここに来てた。久は?」 「オレも同じだな、帰ってきてから漫画読んでゲームして課題やって昼寝をしてたら…って感じ。」 「特に思い当たるところないよな…なぁ、久。俺、女役やるから」 突然の申し出に戸惑う河村はどう反応すればいいか分からなくなった。 「修也?」 「受ける方はキツイって聞くし、一応、俺の方が体力あるからって理由」 気遣ってくれたことには有難い。しかし、河村はやるとしたらそれは最終手段にしたいと思った。 まずは… 「うん…気遣ってくれるのは嬉しいんだけど、それは最終手段にしたい。他の方法があるんじゃないかって思うんだ。」 「他の方法って?」 ①大声で助けを呼ぶ ②ベッドや机で部屋を破壊する 最終手段 ヤる 「最後雑だな」 「しょうがないだろ…とりあえず、①からやってみようぜ」 「了解」 七瀬と河村は力の限り叫んだが、何も応答はなく、体力が消耗するだけだった。 ②ベッドや机で部屋を破壊する 「せーの、で行くぞ」 「おう」 「「せーの!!」」 部屋中にドォォンという轟音が鳴り響く。が、部屋は破壊されるはずがなく失敗に終わった。 ダメだこりゃ。 最終手段 ヤる 「…本当にすんの?」 「外に出るためには、こうするしかないだろ」 「で、でも、修也だって嫌じゃないの?男を抱くなんて」 「見知らぬ誰かより良くない?」 「…俺は、見知らぬ誰かがいい」 「…ふーん」 修也との関係にヒビが入ったら、どうすればいいんだ。もし、出られたとしたらこの先、気まずすぎる。 だったら、二度と会わない見知らぬ誰かの方がいいに決まってる。 「でも、ずっとこのまま、ここにいるのか?目を閉じるか、天井のシミでも数えてるうちに終わるよ」 「天井にシミなんてなi…っ!!」 天井にシミなんてなく、どこもかしこも真っ白な部屋。 突然だった。首筋にキスを1つ落とされた。 「修也…」 「久、今からすることはこの部屋を出たら忘れよう。お互いのためにも」 「…うん、分かった、その方がいいよな」 その時の修也の表情は悲しげに映っていたことは黙っていた。 ◇◇◇ 重い瞼を開くとそこにはいつもの見慣れた天井、見慣れた自分の部屋だった。 「夢…?」 夢にしてはあまりにも内容が濃くて現実だったかと思うくらいだ。 ふと、首に違和感があり首に手をやるとできものがあるみたいだ。 洗面所で確認すると、赤いキスマークがついていた。 「なに、これ」 現実か夢かいよいよ分からなくなってきた。 あんなリアルな夢、到底忘れることなんてできない。 「お互いのために、忘れるって約束したけど、できないよ…修也」

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