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24 松乃について(頼嗣視点)

披露宴を終え、松乃と初めて体を交えてからというもの、私は忙しく、なかなか松乃との時間を作れずにイライラしていた。 披露宴に招待したお礼で、社交会の誘いも多数きていて、断るのも煩わしく、それも自身の気力を削いでいった。 「旦那様、本日17時より会合がございます」 「…、今日もか」 「はい」 「…、断れないのか?」 「本日は三井様や堤様をはじめとした、異業種懇親会となっております」 「…、分かった。松乃は?」 「少し、召し上がる量が減っているようです」 「はぁ…」 私はため息をついて頬杖をついた。 松乃はストレスや疲れが食欲に直結しているようで、離縁後は見間違うくらいに痩せていた。 私と夕食を食べるようになってから、完食が増え、こっそり料理の量を少しずつ増やさせていた。 披露宴の前にまた少し残すことが増えていたが…、ヒート後もさらに食事の量が減った。 ヒート後だから、その反動かと思ったが…、5日経っても食欲が戻らないどころか、さらに減退しているらしい。 時間が許すなら、3食全て私が付き添いたいが…、松乃は気を使うだろうから、せめてまた夕食だけでも一緒にとり、この目で監視したいのだが… ここのところ、会食やパーティばかりでなかなか夜に帰れない。 「ぜひ、奥様も」と言った誘いも増えた。 が、三井に絡まれたことや来場者からの嫌がらせの話を考えると、松乃は外に出したくない。 誰の目にも触れさせたくないのだが… 自分が帰られないことを考えると、友人の1人でもいた方が良いのではないだろうか… もやもやと考えていると、送迎の車が来たので、会食の会場に向かう。 着いて早々に、三井が飛んできた。 「頼嗣ぅ〜、松乃ちゃんは?」 「お前がいる場に連れてくるわけがないだろう」 「つまんないなぁ。あ、俺を抱いてくれる話、どうなった?」 「このような場所でそういう話をするのは辞めてくれ。断ったつもりだが」 「でもさぁ、嫁がいるのに抱けないとか、たまるでしょ?」 「問題ない。それに、初夜は迎えた」 「…ふーん……、っえ???」 「2度は言わない」 「えっ!?松乃ちゃんって、不能じゃ無かったの!?え!どんな感じだった!?」 「声がでかい。教えるわけがない」 「聞きたいだろ!だって、あの純粋そうな松乃ちゃんが、頼嗣の下でよがってたってことだろ?見たいし、聞きたい」 「三井…、それ以上松乃の話をしてみろ。2度と社交の場に出てこれないようにする」 「ご、ごめんて。頼嗣がこんなに熱を上げるなんて初めてだから気になるんだもん」 まだ後ろで松乃のことをブツブツ言っている三井を置いて、私は自席に座った。 やはり、2度と松乃は人前に出さないでおこう。 自身のことを地味で可愛くないと松乃は評価しているが、決してそんなことはない。 確かに目鼻立ちはこざっぱりとしているが、 上品と言われればそうだし、 私は松乃の顔の造形も気に入っている。 が、松乃には、そう勘違いしていてもらった方が 都合がいいので訂正はしていない。 自分の見た目が良いことに気づいた松乃が、他へ行ってしまうことが恐ろしい。 「じゃあさ、2人は番なの?」 また私の目の前に舞い戻った三井が聞く。 「いや」 「えっ!?なんで!?松乃ちゃん、可哀想」 「…、好きでもない男に番われた方が可哀想だろう」 「ええ?そうかなぁ…。Ωだって、溜まるものは溜まるんだから、満たしてあげなよ?」 「分かっている。そういう下品な話をするなと言っているんだ」 「そうだけど大事なことだろー」 三井がまだブーブー言っているが、私は無視を決め込んだ。 松乃が自分から言うまでは、私が手を出してはいけないだろう。

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