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39 社交会再び

誕生日も無事終わり、花ちゃんはたまに頼嗣様のお母様と日にちを合わせてお茶をしにきてくれた。 2人とも良く喋るので、どうしても俺が置いてかれてしまう。 2人が中良さそうに談笑しているのを見ると、少し胸が痛む。 でも、2人はとても優しいから、良いタイミングで話を振ってくれるけれど、 街の様子や流行の服なんかに興味のない俺はあまり上手く返せない。 ましてや、恋愛の話なんてされた日には、お母様の目の前で話すことなんかできなくて 思わず口をつぐんでしまう。 なんていうかもう…、俺なんかには気を遣わないで、2人で会ってくれればいいのに。 とはいえ、実際にそうなったら、俺は気が気でないだろうな。 そんな少しのモヤモヤを抱えていたところで、頼嗣様からどうしても外せない社交会に招待されたので、松乃も同行してほしいと言われた。 確かに社交会の思い出は良いものではなかったけれど、妻の勤めとなれば、参加する。 頼嗣様は結構な数の社交会を断っていたらしい。 気を遣わせてしまった。 それで「断らなくても、言っていただければいつでも同行しますよ?」と言うと 「いや、私が出たくないだけだ」と頼嗣様は渋い顔をした。 そして、社交会当日。 俺は頼嗣様と服を合わせて、それなりにめかし込んで参加した。 披露宴の時は、最低限の人数で開催したが、 今回はどこかの財閥が主催した大きなパーティのため、規模がとんでもない。 ある程度、頼嗣様の挨拶に同行したが、全員を回るわけではないようでホッとした。 何人かは見たことのある人がいた。 「松乃ちゃん!?珍しいね!」 花ちゃんも参加していたらしく、俺を見つけてやってきた。 今日のドレスも華やかな花ちゃんによく似合っている。 俺も精一杯、お化粧で盛ってもらったけれど、やはり素美人には敵わない。 「花ちゃんは今日もかわいいね」 「ありがとう〜。松乃ちゃんもよく似合ってる!それも夫婦で揃えたの?」 「あ…、うん。 頼嗣様はあそこにいる」 少し待っていてくれ、と俺を置いた頼嗣様が、少し遠くで、貫禄のあるおじさんとグラスを合わせていた。 「わ〜!本当だ!素敵〜」 花ちゃんがうっとりとした目を頼継様にむけている。 頼嗣様がかっこいいのは重々承知だけど、改めて誰かに好意を持たれていると知るのは辛い。 「じゃあ、私もパパと挨拶行って来るから。 またね!」 花ちゃんはドレスの裾を翻して、お父様のもとに行った。 また1人になっちゃった。 頼嗣様に視線を戻すと、今度は貫禄のあるおじさんではなく、若くて実業家のような男性と談笑していた。 俺のこと、もっと紹介してくれていいのに。 つまんない、と思いながらも ビュッフェを堪能する。

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