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第18話 ニ秒後にはチョロいんです
「わぁ~!最上級グレードの部屋だって!凄いよなっ!」
「…………。」
確か最後に泊まったのは、BSB内において魔王討伐の目前に50箇所の宿イベをクリアさせて、カードを使って50万ルータもするこの部屋に記念に泊まったんだっけ。
回数制限はあるが、この部屋に泊まればダメージ無効、無限スタミナが三十分持続する所謂チート状態になることが出来る
「やったよな!こんな贅沢がこれからいつでも出来るなんて俺達運が良いよな!?」
「…………。」
「………だからさぁ、もういいかげん機嫌直せよ!?」
件の出来事からラシエルはずっと黙り続けている。
まだ怒りを昇華できていないのか、顔は怖いままだ
「あれは……事故みたいなモンだし!寧ろ店主の方がきたねぇモン見せられて迷惑だったかもだし、俺は全然気にしてないしさ!」
「………貴方は、何を言ってるんですか」
「えっ?」
「本当に、貴方って人は……いえ、もう良いです」
ラシエルはハァと溜め息をついて、豪華なベッドの上に座り込んだ
そのまま沈黙が続き、耐えられなくなったリュドリカが口を開く
「な、なんだよ~まだ怒ってんのか?」
へらへらしながらラシエルの横に座ると、ラシエルは目を細めてこちらを見た
「……てください」
「ん?」
「気にしないと言うのならば、見せて下さい。俺にも」
「はっ…?」
見せろって……まさか俺のアレをか!?
一体何の冗談………って顔してないな……。これはマジで真剣なヤツだ
しかしそんな小っ恥ずかしい要求に応えられるわけがない
「み、見せろって言われて……見せるモンじゃないし……」
「店主は見ました」
「あれは事故だって!」
「納得いきません」
うーーーーーーん?コイツ本当に俺の知ってる誉れ高き勇者か?
別に男同士だし見せたって減るものじゃないが……いざ見せろと言われると、凄く羞恥心が掻き立てられる
「やだ……」
「……そうですか、ならその服返して下さい」
「なっ!?おまえぇ……いじわるだ……」
ラシエルは一歩も引かずに、ズイッとこちらに身体を寄せてくる
ずっと笑顔を見ていたせいで、少し冷たいような視線がまた格段とイケメン度が増している気がする。そして何度も言うが俺はその顔にとにかく弱い
「……も、何でそんなに見たいんだよ……」
「店主だけが見たのが許せないからです」
「何だよそれ。ハァ、分かった……から、笑うなよ…」
「笑うわけないじゃないですか」
全然納得出来ないが、俺はグッと唇を噛み締めベッドに腰掛けた状態から横たわり両手で衣服の裾を掴みぺろりと引き上げた
うわっ!!めちゃくちゃ恥ずかしい!!
晒された秘部が、勇者によって視姦される
リュドリカは耐えられなくて目をギュッと瞑った
「…………。」
「~~~ッッ」
な、なんで何も喋んねぇんだよ!?
こっちは死にそうなぐらい恥ずかしいっていうのに!何か反応しろよ!
じわりと涙が浮かぶ
次第に身体が震えて、裾を掴む手から汗がじわりと滲む
そして遂に耐えられずバッと勢いよく両手を下げてそこを隠した
「もっ、いいだろ!?おしまい!!」
「まだ、もう少しだけ……」
「へっ、ちょっ!?」
ラシエルは俺の腕を掴み、グッと上に引き上げようとする
力で適うはずがない俺は、再びそこを晒した
「~~ッ!やっ、もっ恥ずいってぇ……!」
「………。」
ジーッと俺のモツを真剣に見つめるラシエルは、それでもイケメン過ぎて今の状況がかなりシュールだ。顔面の無駄遣いである
「あ……え、へへ……顔、近すぎ…なんか、食べられそうで、怖いんだけど……」
「ッ!!」
穴が開きそうなほど見てくるもんだから、なんだか俺の方が笑えてきてしまい、つい冗談めかしてしまう
しかしラシエルはこちらを見て、物凄く目をギラつかせている、気がする
「……それは、誘っていると捉えていいんでしょうか」
「全然違うからな、マジでお前怖いんだって」
そろそろ本気でマズいと思ったリュドリカは、ラシエルの腕をバシンと叩いた
その拍子で手が離れ、リュドリカは起き上がり身を竦めてラシエルから距離を取る
そもそも俺ですらこの身体をきちんと見てもいないのに、どうして伝説の勇者様が変態の如く人のイチモツを食い入るように見られているのか、全くわけが分からない
「お前って変態なんだな……」
「そう、みたいですね。俺も知りませんでした」
なんだよそれ。でもすっかりこの変態勇者は機嫌を取り戻したのか、漸くいつものニコニコの笑顔を向けた
「はぁ。まあ機嫌治ったんなら別に良いけどさ……」
「はい、取り乱してすいませんでした。満足しました」
「……おう」
いや待て。我ながらちょっとチョロすぎないか?
顔が良いからとつい何でも許しちゃってるけど、もう次からはそうはいかないからな。うん。
「今日は早めに寝ましょうか?明日朝一でここに商人が来ると思うので、そこで服を買いましょう」
「あっうん、そうだな……」
この部屋にはダブルサイズのベッドが二つ用意されているので、リュドリカは立ち上がり隣のベッドに移動しようとする。
しかし後ろからパシッと手を掴まれ、ラシエルに引き留められた
「な、なんだよ……」
「一緒に寝ませんか?ベッドも広いですし」
「いや……なんでだよ、ベッド二つあるんだぞ……」
「ハァ。夜は凄く冷えますね……服を着ていないから、風邪を引くかもしれません」
「……………。」
チラリと目を向けると、こちらを伺うラシエルは子犬のようにジッと目を見つめてくる
改めて見る彫刻のような形の良い筋肉に思わず見惚れる
リュドリカは額に汗を伝わせて、ごくりと喉を鳴らした
「……もう、分かったから、そんなに見るなって……」
やっぱりダメだった。だってこの鍛え抜かれた身体も好きすぎる
勇者がこのぐらいで風邪なんか引くかと頭で分かっていても、求められるとつい応えたくなってしまう
正直女に生まれてこなかったのを既に後悔しかけてしまっている自分がいる!
「ほんとですか!?嬉しいです!」
ラシエルはリュドリカの腕を引き、ベッドの中に連れ込むと、ハグをするように強く抱き締めた
それは流石に心臓が持たないと、ラシエルの肩を強く押す
「ちょっ!抱きつくなって!」
「………朝、目覚めると動けない身体って、実は凄く怖くて……こうしておけば、目覚めても俺は動けることが出来ますし、ダメですか?」
「うぅっ……!」
ズルい!!この勇者は本当に!!
魔王うんぬんより先に、コイツに心臓発作で殺されてしまうんじゃないか!?
ギュンッと心臓がときめくのを誤魔化そうと肺いっぱいに深く深呼吸をして、分かったと顔を赤く染めてフイッと背ける
ラシエルは嬉しそうに再びリュドリカの胸を抱きしめて、優しく微笑む
「ふふ、あったかいです。おやすみなさい」
「う、うん。オヤスミ……」
全く寝れる気がしないんだが!?
バクバクと心臓が跳ね上がり、お祭りの太鼓みたいになっちゃってるから!!
俺の胸を抱きしめて眠るラシエルも、流石にうるさくて寝られないんじゃ……
そっと下を向くと、規則正しい寝息を立てたラシエルが静かに眠っていた
寝てるし!!の◯太か!!でもそんなところも凄く可愛いけど!!
明日は朝から商人が来るとかいうんだし、俺もこうなったら意地でも早く寝てしまおうとギュッと目を瞑り、羊の数を五千匹ほど数えたところで、漸く意識を手放した
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