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第56話 横暴王様ゲーム

〈……ウゥーン、もぉ~だるーい……〉 「レインガルロ様!オレが分かりますか!?」 靭やかな龍の巨体を持ち上げ、水色の鱗が気怠げに左右に揺れる。額に雨の形をあしらった水晶が特徴的なサファリアの帝王、レインガルロがゆるりと振り向いた 〈なに……?カシミア?ここどこ……〉 「ここは龍宮の帝王の間です!無事正気を取り戻されたんですね!?良かった……どこか痛むところはございませんか!?」 〈全身がピリピリ痺れる、ぐらい……もう。なんなの、これ〉 ポツリと愚痴をこぼすレインガルロの姿を見て、リュドリカはホッと胸を撫で下ろす 容態は安定していたと言えども、このまま目覚めなければこの国の民にどんな顔向けをすればいいのか一抹の不安は微かに感じていたからだ 「はぁ~!良かった~!」 つい無意識に安堵の声が漏れると、レインガルロはこちらを見た 〈……あの二人は?〉 「あぁ、実は……魔王に操られたレインガルロ様を助けようと声をかけて下さった方々です。結果的に彼等の仲間のおかげで、レインガルロ様は正気を取り戻せました」 〈ふうん。そうなんだ……〉 レインガルロはゆっくりと身体を起こすと、頭を高くしラシエル達を見下ろした 〈おい、人間。狂ったボクを助けてくれた事には感謝する。お礼にボクの秘術を君たちに披露させてやろう〉 「……!!」 き、きた……! 何でも願いを叶えてくれるスキル……! リュドリカは嬉々として顔が綻ぶ。ラシエルは目醒めたばかりの水龍をジッと見据えては、まだ警戒しているようだった 〈でも、少しやりすぎだ。すっごく身体が痺れる。なので、ボクとゲームをして勝てたら、キミたちの願いを一つ叶えてあげる。どう?〉 「へっ?え……あ……や、やります!!」 「リュドリカさん!こんな怪しい提案……!危険すぎます!」 帝王レインガルロは、フッと笑みを浮かべて俺とラシエルを交互に見やる 玉座に身体を下ろして、俺達を一瞥する水龍に対し、リュドリカはそそくさと正座の体勢を作り、帝王の言葉を喉を鳴らして待った 〈うーん、そうだなぁ〉 考え込むレインガルロに、冷や汗を浮かべる そしてパッと思いついたように、水龍はこちらを見た 〈そうだ!王様ゲームをしよう!〉 「……へ?」 余りの突拍子もない提案に、つい間抜けな声が出る 水龍は楽しそうに笑顔を向け、この状況を楽しんでいた 「王様ゲーム……ですか?」 〈うん!人間の遊ぶゲームにそんなのがあるって友達に聞いたんだ!あ、でも王様はボクだよ?キミたち二人がボクの言う事を聞いてね〉 「そ、れは……」 横暴……!ていうか完全に出来レースじゃねえか! この水龍レインガルロ、見た目は立派だが実はまだ産まれて間もない幼龍だった。 家臣であるタツノオトシゴも、海中帝国(サファリア)に受け入れる人間を選別するのは、まだ幼い帝王に対しての配慮であり、悪い大人(人間)に騙されないよう監視していたからだった。 「全く、くだらない。リュドリカさん、こんなヤツの言う事なんて聞く耳持たなくて良いです。地上に帰りましょう」 ラシエルは溜息をついて、俺の手を引く 「えっ、や……でも!」 〈ふーん、いいの?ボクの能力を知って、わざわざここまで面倒をかけたんじゃないの?〉 「そっ……」 全く持ってその通りです……! 俺はラシエルの手を掴み返し、目を見つめた 「大丈夫だから!ラシエル、俺がなんとかするから!」 任せて!と強気に言い張り嫌そうにするラシエルを無理に説得させた そしてレインガルロに向き合う 「やる!やります!因みに……ルールはご存知なんでしょうか……」 〈ルール?王様の言うコト何でも聞くんじゃないの?出来たらボクもキミたちの願い聞くし〉 「あ、あぁ……」 完全に接待ゲームだ……。 でもこどもの考えるようなこと、危険なお願いなんかはしないだろうし……俺は腹を括り覚悟を決めた。 「何をすれば良いんでしょうか……」 〈えーと、そうだなぁ、うーん。人間のコトってあんまり知らないからなぁボク…………あ、そう言えば〉 レインガルロはあっと思いだしたかのように声をあげ、キラキラした目でこちらを見た

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