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潮波(しおなみ)☆

 ある日、悠真の部屋から笑い声が漏れていた。1階から遠目で見ている分には気が付かなかったのだが、2階に上がると、悠真の部屋の扉がほんの気持ち程度開いていた。思いっきり音を立てて閉めてやろうとドアノブに手をかけ、一瞬見えた部屋の中では蓮の想像もしなかったことが行われていた。 悠真と颯太が深くキスをしていた。 「…ん、ふ…はあ。」 長いキスの後、悠真の唇がてらりと艶めくその光景は、見てはいけないものを見ているのだと蓮の脳に訴えかけた。 「鍵を…。」 そう言って颯太がこっちに体を向けた時にはどきりとしたが、 「どうせ、蓮はこの部屋に来ないよ。ねえ、もう1回…。」 そう言って悠真が颯太の手をとった。その仕草がどことなく色事の気配を感じ、自分に向けられた表情ではないのに蓮の顔は真っ赤になった。  蓮は昂る気持ちを必死で宥めながら、そろりそろりと忍び足でトイレに向かった。気持ち悪いと心の中で罵りながらも自分を抑えることが出来なかった。その日蓮はベッドの中で丸くなって眠った。悠真のあの赤い唇が、頭から離れなかった。

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